立命大、海洋プラごみを定量化する動的モデル作成 ゼロ化へシミュレーション

2020年2月8日 13:28

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 生態系に深刻な影響を及ぼす海洋プラスチックの問題。立命館大学は、この問題を解決することを目指したシナリオ作成のために、海洋プラスチックを定量的に捉えるモデルの構築に取り組んでいるという。

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■アジア近海で深刻な海洋プラスチック問題
 家庭・台所用品や電化製品から住宅用建材に至るまで、幅広く使用されているのがプラスチックだ。立命館大学によると、大量生産が開始された1950年頃から2015年まで、全世界で生産された83億トンのプラスチックのうち、63億トンが破棄されたと推計されている。破棄されたプラスチックは埋立処理などが施されるが、一部は海に流出する。

 海洋に流出したプラスチック発生量ランキングで上位を占めるのが、アジア諸国だ。環境省によると、2010年の推計で中国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、スリランカの順で海洋に流出したプラスチックごみが多く発生しているという。

 海洋プラスチックは半永久的に分解されず、代わりに、回収できないほど細かい「マイクロプラスチック」へと変化する。マイクロプラスチックは海洋生物によって体内に取り込まれ、人間がプラスチックのくずを食べる可能性がある。そのため、海洋プラスチック削減に向けた取り組みが世界規模で議論されている。

■海洋プラスチックごみの定量化が先決
 海洋プラスチックごみを削減する施策を立てるためには、現状の定量的な把握が不可欠だという。立命館大学の研究グループは、仏共同研究者とともに、人口動態、プラスチックの使用量や破棄量、海洋への流出量等の要素を考慮した動的モデルを構築した。

 2010年から20年の間で、海洋プラスチックごみは1億8,300万トン増えると推計されている。そこで研究グループは、清掃によるよるごみ回収、不適切な破棄の削減、代替製品の利用等を組み合わせた4つのシナリオを想定し、シミュレーションを実施した。

 その結果、海洋プラスチックごみの量は現状維持が精いっぱいであると予想している。また施策にかかる費用は、世界GDPの0.7から1%に相当する4,920億から7,090億ユーロだと推定された。

 研究グループは今後、構築したモデルを発展させることで、2050年に海洋プラスチックごみ汚染をゼロにするシナリオや、費用負担などを検討するとしている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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