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日本郵政グループを揺るがす不適切販売問題 (2) 旧郵政省OBを遠ざける契機となるか?
スルガ銀行のシェアハウス問題では、銀行が勧めることを鵜呑みにする”善良過ぎる”顧客が犠牲になったが、かんぽ生命保険の不適切販売では、法令や社内規定違反が疑われる事例の70%を60~90代の高齢者が占め、男女別では女性が85%になるという。つまり被害者全体の60%以上を占める60~90代の女性を”食い物”にしたことになる。
【前回は】日本郵政グループを揺るがす不適切販売問題 (1) 無責任な役員を戴く悲劇
親方日の丸の頃から”つぶれない”という絶対的な安心感と、身近で気さくな局員への親しみにも支えられた郵便局は、庶民の絶大な信頼を集めていた。銀行員にも、堅い仕事をしている真面目な人という先入観念があった。社会から寄せられる信頼と信用が大きな財産だった郵便局員と銀行員のイメージは、昨年から今年にかけて大きく変化したことだろう。社会を裏切った咎(とが)は大きいと言わざるを得ない。
不適切販売問題が拡大する一方で、7月中旬から営業活動に大きな制約を受けているかんぽ生命保険の19年9月中間決算が、11月14日に発表されている。保険料収入が対前年同期比で11.7%の減少は妥当なところだが、純利益が同11%の増加となり、20年3月決算では上場以来の最高益となる1340億円の純利益を予想していることが話題となっている。
かんぽ生命保険は日本郵便に保険商品の販売を委託しているが、販売自粛によって販売委託手数料も大きく減少することになった。販売促進経費が減少した分だけ利益が増加するようだ。
販売委託手数料が減少した郵便局も、販売員に支払う成果報奨金の支払い減少と、地道な宅配便の増収などが重なり、9月期決算では純利益が対前年同期と比して約2倍の384億円になった。
両社の決算見込みは、販売促進経費の増減が収益を増減させる程の重い意味を持つことを示す。如何に高額の”歩合”が支払われていたのかということであり、歩合のない職員の定例給が相当低額であることも示している。
今後、日本郵政グループの経営体質の改善を検討する場合には、大いなるポイントであることは間違いない。もちろん営業自粛状態が継続することは、将来の収益圧迫要因となる。今回の”増益”は販売促進経費の急減が見せた、一瞬の”あだ花”ということでしかない。
元総務省事務次官の経歴を最大限に活用して、NHK会長から謝罪をもぎ取った日本郵政の鈴木上席副社長が、行政処分情報の漏洩問題で再び注目を集めている。高市早苗総務相が「旧郵政省のOBが日本郵政グループの取締役に就任することには弊害がある」と認識したのは大きな意味がある。今後は是非、日本郵政の社内に目配りができる取締役を選任して欲しいものである。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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