木星や土星がアステロイドベルトにある小惑星の軌道構造に及ぼす影響 米仏の研究

2019年12月10日 21:33

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 アステロイドベルトとは、火星の軌道と木星の軌道の間の領域にある小惑星が数多く存在している領域を意味する言葉である。この領域の小惑星の軌道には特徴があり、それらの軌道構造の形成には木星や土星などの巨大惑星の引力が大きく影響していることが、12月9日に公開された米国とフランスの科学者による研究論文(原題:"A RECORD OF THE FINAL PHASE OF GIANT PLANET MIGRATION FOSSILIZED IN THE ASTEROID BELT'S ORBITAL STRUCTURE")で明らかにされた。

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 アステロイドベルトに存在する小惑星軌道は、その領域に存在する物質の総重量が極めて小さい事によって、他の惑星と比べて、異質な特徴を持っている。だが、従来のニースモデルでは、アステロイドベルトの最内周に属する小惑星の公転軌道傾斜の分布を再現できないという問題点があった。

 今回の研究論文では、数値解析シミュレーションによって、この問題点の解決に成功したことが示された。

 ニースモデルとは、太陽系の構造の進化を力学的に記述するモデルを指す。このニースモデルでは、木星や土星などの巨大惑星軌道が太陽系が形成された初期のころはより内側にあり、それが時間の経過を経て、現在のような軌道配置になったと仮定している点が特徴である。

 ニースモデルでは、この仮定を採用することによって、現在の複雑な太陽系の構造をうまく説明できる特徴を持っている。実際には、太陽系が誕生したばかりのころの、木星や土星の軌道を知る術は存在していないが、ニースモデルで現在の太陽系構造をうまく説明できるという事実が、この仮説の信憑性を推し量る間接的な証拠であると言えよう。

 今回の研究では、木星や土星の軌道変化の最終段階について、詳細な検討を行い、アステロイドベルト内の小惑星の現在の公転軌道傾斜分布を再現することに成功している。

 太陽系の進化の過程で、木星の公転軌道半径と土星の軌道半径が2:5となるタイミングを境にして、木星の引力が土星の公転軌道に及ぼす影響に大きな変化が現れる。具体的には土星の公転軌道が真円から、大きく外れ、乱れてゆき、歳差運動が加速されることになるのだが、このことが小惑星の軌道傾斜角の変化に大きな影響を及ぼすことを明らかにしたのである。

 太陽系に存在する各惑星の軌道構造の進化プロセスについては、太陽系の惑星や小惑星の現在の軌道状態を出発点にして、それを再現できる太陽系の初期状態に関する仮定を探ってゆくのが常識的なアプローチだった。だが今回の研究では、ニースモデルの信憑性をより強化する詳細な検討が行われた。

 太陽系誕生から50億年もの歳月をかけて変化してきた現在の状態を再現することは、非常に難度の高い取り組みであることは皆さんにもご想像いただけるであろう。我々一般人の立場からすれば、数値解析で50億年の経過を再現するのに、計算機をいったい何日稼働させればよいのかなどと考えただけで、気が遠くなってしまう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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