東北大ら、小惑星の氷の痕跡を隕石から発見 太陽系の仲間がたどった人類とは全く別の運命

2019年11月27日 08:44

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箱型に成形した隕石試料のX線CT(8 keV)による断面像。白色の点線で囲まれた部分に、黒色の空隙が多く含まれており、もともとあった氷が抜けてできた空間と考えられる。(c) Megumi Matsumoto et al.

箱型に成形した隕石試料のX線CT(8 keV)による断面像。白色の点線で囲まれた部分に、黒色の空隙が多く含まれており、もともとあった氷が抜けてできた空間と考えられる。(c) Megumi Matsumoto et al.[写真拡大]

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 11月22日、東北大学、京都大学、立命館大学、中国科学院、海洋研究開発機構、高輝度科学研究センター、ロンドン自然史博物館などで構成された共同研究チームにより、小惑星に存在したと考えられる氷が抜けてできたと推定される空間を、隕石中で多数発見したとの発表がなされた。

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 今回の発表のポイントを分かりやすく要約すると次のとおりである。

 もともと小惑星であったものが、衝突を繰り返すことで飛散して破片となった炭素質コンドライトと呼ばれる種類の隕石を、X線CTを用いてナノスケールで観察を行った結果、氷の痕跡であることを示す多数の微小な空孔が見つかった。これらの空孔のサイズは10ミクロン程度で隕石内部にまんべんなく分布していたとのことである。

 通常は隕石中にこのような微小な空孔が観察されることはなく、今回の発見で観察されたような空孔が隕石中に生じるには特別な事情があったのだ。

 炭素質コンドライトとは、成分中に有機物や化合物として炭素を多く含有する隕石を指すが、隕石全体に占める割合は非常に少ない。その理由は、通常、微惑星の衝突が繰り返されることで微惑星内の温度が200度以上の高温になり、炭素を含有する有機物や化合物が気化して、宇宙空間に飛び去ってしまうためである。

 炭素コンドライトは微惑星同士の衝突の中、偶然200度以上の高温に上昇するのを免れた存在で、その内部には当然水分が存在していたことも容易に想像できる。

 もともとこの炭素質コンドライトが構成していた小惑星は太陽系でもより外側の軌道にあり、その温度は0度以下に保たれ、内部の水分が10ミクロン程度の氷の結晶として、まんべんなく分布していたものと考えられる。これが何らかの理由でより太陽系のより内側の軌道に移動し、氷が解ける温度の領域に達し、それが空孔として残り、今回発表された構造が観察されたのであろう。

 かつて小惑星であった存在が、度重なる衝突で粉々になった微小な破片となり、たまたま地球の引力に捉えられて降り注ぎ、摩擦熱による蒸発を免れ、地球で人類によって偶然発見され、その生い立ちが確かめられたのである。

 このような隕石も私たちの地球も元をただせば、40数億年前には太陽系の宇宙空間を漂っていた微惑星であった。つまり、隕石も地球もそして地球で進化を遂げた私たち人類ももともとはちっぽけな兄弟であったのだ。私たちは今回の発表で、たまたま別の運命となった太陽系の同志がたどった、全く異なるドラマを目の当たりさせてもらったことになる。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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