マツダ3のサスペンションはリジッドアクスル トーションビームを選んだ理由は

2019年11月3日 20:42

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「MAZDA3」ファストバック(画像: マツダの発表資料より)

「MAZDA3」ファストバック(画像: マツダの発表資料より)[写真拡大]

 今年発売されたマツダ3には驚かされることが多いのだが、そのリアサスペンションがまたユニークだ。マツダ3のボディは衝突安全性では世界で高い評価を得てきているが、軽量化にも工夫がなされている。また、サスペンションとの協調によって乗り心地や操縦性能などでも向上を遂げている。

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 マツダに限らず、近年の日本車の操縦性能は著しく向上しており、ドイツ車などよりも日本国内の道路事情には向いているかもしれない。

 マツダ3のリアサスペンション形式は、トーションビームを採用している。つまり、現代の乗用車で標準と思われていた独立懸架を採用せず、あえてリジッドアクスル(左右の車輪が車軸でつながっている固定車軸式)をとっているのだ。

 独立懸架ではトルクロッドを使い、ある程度、両輪独立の動きを制御しなければならない。それはロールした時に片側が沈み込むと反対側が浮き出す動きとなり、その浮き出す片側のスプリングがボディを跳ね上げる動きで、大きくロールすることとなる。また、その動きにタイムラグなどがあると、制御できない不快な動きとなってしまう。そこでトルクロッドで両側がつながれていれば、片側が沈み込めば、反対側も抑えられて、跳ね上げる動きとはならない。

 リジッドアクスルだと無用に重心が上がり転覆などを助長する動きを抑え、フラットな動きを作り出すこととなる。一方、独立懸架ではトルクロッドでねじれる分は独立に動くのだが、それが主に直進安定性に悪い影響を出してしまう。クルマの直進性確保のためには、むしろリジッドアクスルのほうが良いようだ。タイヤが上下動してもアライメントが変わらない特性が強い。

 マツダ3はトーションビームアクスルを採用して左右をパイプでつないでいるが、そのパイプのねじれの自由度を上げるため、わざわざ中央部を細く加工している。そうすることによって、独立懸架の良い性質も合わせ持っているのだ。トルクロッドより強く、完全独立懸架よりも拘束していると言って良いのであろう。

 近年の日本車のハンドリングは世界トップレベルに達したと言って良いかもしれない。直進安定性はかなりのレベルであるし、操縦性については機敏さが多くの車で見受けられる。

 トヨタ・プリウス、トヨタ・カムリ、スバル・インプレッサなど、身近な実用車でもかなりの水準だ。その中で、直進安定性でも、操縦性でも「修正舵を必要としない」という点で、スバル・インプレッサには感動した。またノーズダイブやロールが少ないのに、街乗りの乗り心地が良いセッティングなどがみられ、驚くばかりだ。

 マツダ3に期待しているので、乗る機会があったらまた報告しよう。1つ付け加えるのなら、マツダはトーションビームをパイプから作るのではなく、世界中どこでも手に入る鋼板からのプレス加工を考えて、製造方法を編み出していることだ。世界のどこの工場でもスウィング生産に対応できるように、研究を積み上げているようだ。その成果が早くマツダの利益率6%以上につながることを願っている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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