新しい天体物理学手法が宇宙の謎を解明する マルチメッセンジャー観測とは

2019年11月2日 15:56

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 マルチメッセンジャー天文学は比較的新しい天体物理学のカテゴリーであるため、一般人にはあまりなじみがないかもしれない。この言葉の定義は、光、電磁波、重力波、ニュートリノ、宇宙線などの複数の媒体観測を協調して行う観測手法を意味している。

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 ごく最近では、2017年10月16日に観測された二重中性子星からの重力波検出に伴い、その1.7秒後にガンマー線バーストが観測され、その11時間後に光学望遠鏡観測で天体が特定された事例がある。

 これは、地球から1億3千万光年の彼方にある連星系を構成する2つの中性子星が、衝突を起こしたことに伴い発生した重力波を観測した事例で、中性子星による重力波の世界で初めての観測となった。それ以前に観測された重力波はすべて2つのブラックホールの合体によるものであったため、光学望遠鏡観測での重力波の発生源確認は不可能であった。

 最近の研究で銀河に存在する数十個の二重中性子星が、重力波観測により発見された。これらの二重中性子星は、電波パルサーとしても観測できる可能性があり、重力波と電波によるマルチメッセンジャー観測が可能である。

 10月29日に公表されたオーストラリア・モナッシュ大学の研究者による論文によれば、二重中性子星でのパルス周期が正確に観測できれば、向こう10年間の観測で、質量と半径の関係をわずか0.2%の誤差で特定が可能になるという。

 2017年の二重中性子星衝突は、1億3千万光年という気の遠くなるほどの距離にある天体をマルチメッセンジャー観測によって特定できた、画期的な事例であったが、今回のモナッシュ大学の論文によれば、このような遠方にある二重中性子星を2つに分離して捉え、その組成をも明らかにできるという。

 中性子星は質量が非常に大きいのに反して、半径が非常に小さい。例えば太陽程度の質量の中性子星は半径が10km程度しかない。このことを考えれば、宇宙の遥か彼方にある中性子星の質量と半径を高精度で特定できることのすごさもお分かりいただけるだろう。

 重力波天文学は2つのブラックホールの衝突現象によって花開いたが、現在は光学望遠鏡観測も可能な二重中性子星が重力波を発することが判明したことから、マルチメッセンジャー観測が可能になり、近い将来中性子星の謎の解明をかなりの精度で実現できる見通しが立ったことになる。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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