肺高血圧症の発症に関連するタンパク質発見 治療薬候補も 東北大の研究

2019年10月17日 09:31

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タンパク質「ADAMTS8」による肺高血圧症・右心不全の促進機構。(画像: 東北大学の発表資料より)

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 指定難病である肺動脈性肺高血圧症は、未治療の場合その平均生存期間は約3年である。いまだ薬剤による根治は難しく発症のメカニズムもまだ解明されていない。

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 東北大学の研究グループは、肺動脈性肺高血圧症の発症にかかわる新規タンパク質ADAMPS8を発見した。さらに、これまで駆虫薬として用いられているメベンダゾールが、肺動脈性肺高血圧症に対して治療効果をあらわすことを示した。今後このタンパク質をターゲットとした効果的な新規治療法の開発が期待される。

 今回の研究は、東北大学医学系研究科の下川宏明教授、佐藤公雄准教授、大村淳一医師らの研究グループが東北大学加齢医学研究所と合同で行ったもの。

 高血圧とは、血液が血管の壁を押す圧力が強くなっている状態のことをいう。一般的な高血圧の場合、加齢などが原因で血管が硬くなり、そこを血液が通り抜けるときに本来の伸縮がないため圧力が高くかかることにより生じる。しかし、肺動脈性肺高血圧では、肺の血管囲周囲の筋肉細胞が異常に増殖して分厚くなることで血液の通り道が狭くなり血圧が上昇する。

 研究グループは広範囲の遺伝子およびタンパク質スクリーニングを行うため、肺動脈性肺高血圧症患者の動脈平滑筋細胞と正常な細胞を比較し、差がみられる遺伝子やタンパク質を網羅的に検討した。するとこれまで肺動脈性肺高血圧と関連があると全く思われていなかったタンパク質ADAMTS8が、疾患を持つ患者の細胞で多くみられることを見出した。

 このADAMTS8の働きを調べるために、細胞のADAMTS8を消滅させたノックアウトマウスを用いて検討した。通常のマウスを低酸素下におくと肺高血圧が起こるが、ノックアウトマウスでは肺高血圧を起こしにくくなった。つまり、ADAMTS8が少ない方が肺高血圧を起こしにくいことがわかった。

 次にADAMTS8が多く発現している細胞では、細胞の異常増殖や血管内皮細胞の機能の低下、心臓の血管新生の低下がみられた。結果として肺動脈の血管の内側が狭くなり血圧が上昇し、右心不全が進行することが考えられる。以上より、タンパク質ADAMTS8は 肺動脈性肺高血圧症の新しい病因因子であることが明かになった。

 さらに肺動脈性肺高血圧症患者の細胞を用いて新しい治療薬を探すためのスクリーニングを行ったところ、駆虫薬として一般的に用いられているメベンダゾールが候補となった。マウスの肺高血圧症モデルにおいてメベンダゾールはADAMTS8の増加を抑え、さらに肺高血圧を改善した。今後、メベンダゾールをはじめとしたADAMTS8を標的とする新しい治療が開発され、この難病の治療法が確立されていくことが期待される。

 研究の成果は、9月26日のCirculation Research 誌(電子版)に掲載された。(記事:室園美映子・記事一覧を見る

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