トヨタが北米拠点を集約 (2/2) 基準は資金効率 ポイントはサプライチェーン

2019年10月7日 08:23

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米国トヨタ本社(画像: 米国トヨタの発表資料より)

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 トヨタがテキサス州へ拠点移動した理由で次に考えられる条件は、法人税などの優遇処置の問題である。2017年にトランプ政権が実施した法人税引き下げの動きにより、連邦政府の連邦法人税35%が21%に引き下げられたことは大きなことであろう。10年で1.5兆ドルとみられる減税が実施される。

【前回は】トヨタが北米拠点を集約 (1/2) カルフォルニアでバッシングを受けテキサツ州ダラスへ?

 「連邦税が21%、テキサス州の法人税と個人所得税ゼロ」は大きい。さらに大きなメリットとして5年間の時限立法により設備投資減価償却が全額認められることだ。トヨタのように利益金額が多い場合に、減価償却が大幅に認められるこの措置は、新規設備投資を行うのにはメリットが大きい。仮に、米国トヨタが経常利益1兆円をあげたとして、設備投資が3000億円あった場合、全額差し引いて(償却して)7000億円が課税対象となるからだ。

 これが日本国内であると税額が5000憶円程度となり、テキサス州では1400憶円程度で済むこととなる。設備投資を行う企業としては願ってもない環境なのだ。このため、この期間に米国トヨタが将来の生産性向上までも見込んで設備投資に走る可能性が高いのだ。

 現在の状況では、研究開発費も課税対象額からの減額を行うと、研究機関を誘致することもできることとなる。こうして所得税ゼロも手伝って、地元の人材育成と雇用の安定を図る政策があっても良いはずだ。

 振り返って日本の役所の体質をみると、そうした政策上の施策をアピールしないが、全国民向けに最大限アピールすべきことだ。さすれば、官僚の努力もあながち「反国民的」ではないと知らしめることとなる。

 トヨタの動きで何よりも知らなければならないことは、サプライチェーンの作り方であり、モデルベース設計、モジュール設計など製品企画段階からの生産技術を含めた検討が必要だ。

 現在、車種においても、アメリカでは大型ピックアップの売行きが良いのだが、これがいつまでも続くとは限らない。また、世界的なSUVブームでセダンなどからの生産転換が必要になるケースが出てきている。

 こうした生産車種の変動に強い世界の生産拠点と結んだ「スウィング生産」が必要だが、それに対応できる「サプライヤーの品質レベル」の世界的平均化が必要だ。整備システムとの連動も必要で、商品企画段階からの全体構想が欠かせない。

 これらはTNGAの進捗状況に関わる重要なポイントだ。すべての評価基準を「資金効率」に定め、統合した効果を見定める必要があるが、これには米国トヨタだけでなく、トヨタ本体の統制力が試されるという壮大な規模がある。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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