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アウトバーストを起こす超大質量ブラックホール (c) X-ray: NASA/CXO/CSIC-INTA/G.Miniutti et al.; Optical: DSS[写真拡大]
地球から約2億5,000万光年離れた銀河「GSN 069」の中心には、太陽の約40万倍もの質量をもつブラックホールが存在する。米航空宇宙局(NASA)は12日、この超大質量ブラックホールは、月の4倍に相当する物質を1日に3回消費するという研究報告を公開した。
【こちらも】銀河系の中心にある超大質量ブラックホール、突然輝き出す
■速いサイクルで起きるアウトバースト
X線などの電磁波により天体が急激に光り輝く現象がアウトバーストだ。X線によるアウトバーストが、ブラックホールから観測されたケースが2度存在する。これらのブラックホールの質量は太陽の10倍ほどだが、銀河の中心に存在するような超大質量ブラックホールからアウトバーストが観測されたケースは、これまで存在しなかった。
NASAの研究グループは、GSN 069中心に位置する超大質量ブラックホールから9時間毎に繰り返されるアウトバーストを観測した。アウトバーストは通常よりも20倍もの明るさになり、ブラックホールに落ち込むガスの温度は、約55万度から約140万度へと急上昇していたことが判明した。
NASAが運営するチャンドラーX線観測衛星や、欧州宇宙機関(ESA)のX線観測衛星「XMM-Newton」から取得したデータは、超大質量ブラックホールが定期的に大量の物質を消費していることを示唆するという。
■繰り返し発生するアウトバーストの謎
ブラックホールでなぜアウトバーストが発生するかの起源は長らく謎だった。しかし今回、高温ガスが繰り返し生まれては消えたことから、ブラックホールが分裂させた星から徐々に生まれたガスがアウトバーストの原因なのだと、研究グループは考察する。
その一方でアウトバーストが繰り返し発生することに関しては謎が残るという。研究グループは2つの説を用意する。1つはブラックホール周辺の降着円盤のもつエネルギーが不安定化するまで増大し、アウトバーストを発生させる物質がブラックホール内に急速に落ち込むという現象の繰り返しだとする説。
もう1つは、ブラックホール周辺を公転する、崩壊した星の残滓等の天体が降着円盤とのあいだで相互作用を起こしたとする説だ。
いずれにせよ、繰り返し発生するアウトバーストの謎を解くためには、更なるデータや新しいモデルが研究される必要があるという。
研究の詳細は、英科学誌Natureにて11日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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