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胸に貼ったフレキシブルな生体信号計測回路(写真:産業技術総合研究所の発表資料より)[写真拡大]
大阪大学と産業技術総合研究所(産総研)から構成される研究グループは16日、世界最薄・最軽量の生体計測用の回路を開発したと発表した。歩行中でもノイズの少ない心電計測が可能で、ウェアラブルデバイスにも応用されるという。
■フレキシブルな有機半導体材料が注目
近年、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスの登場により、心拍数等の生体情報の計測が可能になっている。とくに少子高齢化を迎えた日本にとって、ヘルスケア分野への応用が期待されている。
シリコンなど固くて重い無機半導体材料に対し、柔らかくて軽い有機半導体材料が注目されている。フレキシビリティに優れた有機材料から、比較的容易に曲げられる有機トランジスタが作製可能だという。
有機トランジスタは装着性に優れているため、微弱な生体信号を常時計測するセンサーへの応用が期待されている。微小な生体信号を計測するためには、信号を大きくする増幅回路が不可欠だ。有機トランジスタは装着性に優れているものの、従来の回路では測定したい生体信号とそれ以外のノイズを区別できないため、低ノイズの計測は困難だった。
■スポーツなど激しい運動下でも生体信号が計測可能
研究グループは、回路内における有機トランジスタの電流ばらつきを2%以下にまで低減する技術を開発した。有機トランジスタを用いた作動増幅回路は、製造のばらつきの大きさが、本研究により克服されるという。
回路は、厚さ1マイクロメートルのプラスチックフィルム状に製造され、丸めても壊れない。そのため、人の肌に違和感なく貼り付けられる。研究グループによると、同回路は心電を25倍に増幅しながら、ノイズを7分の1以下まで除去可能だという。
回路は装着性と精度に優れているため、あらゆる場面での生体計測が簡易で快適になることが期待される。とくにスポーツをしているときなど、激しい体の動きを伴う場面での計測が可能だという。リアルタイムで長時間の生体計測データを利用し、病気の早期発見や治療の効率化、高齢者や患者の見守り、運動負荷の監視などに応用されるだろうと、研究グループは期待を寄せている。
研究の成果は、英科学誌Nature Electronicsにて16日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
関連キーワードウェアラブル端末、ヘルスケア、産業技術総合研究所(産総研)、大阪大学、半導体
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