遺伝子操作ベビーを生み出せる技術、その進歩をどう制御していくか

2019年8月14日 19:47

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 8月2日、厚生労働省で専門委員会が開かれ、「ゲノム編集」により人間の遺伝子を操作して赤ちゃんを誕生させる研究や医療を、法律で規制するかの検討が開始された。成人に対しては、現在すでにゲノム編集技術を用いた治療が行われているものもある。しかし、昨年11月にこの技術によって遺伝子操作された双子の赤ちゃんが中国で生まれたことは、世界中で議論や批判を巻き起こした。

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 この双子の赤ちゃんの誕生を発表したのは、中国の研究者、賀建奎氏である。遺伝子操作の目的については、HIV(AIDSの原因ウイルス)感染に関係している遺伝子CCR5を取り除き、赤ちゃんが将来HIVに感染しにくくすることだと賀氏は説明している。

 病気にかかりにくくなるのであれば良いというわけにはいかない。その理由の一つは、ゲノム編集技術の持つ性質によるものだ。遺伝子を編集する場合、まず編集したい遺伝子の場所を、「特徴的な遺伝子配列」を利用してみつけ、遺伝子を切る酵素で切断し、その部分を取り除いたり、導入したい遺伝子を組み込んだりして行う。今回用いられた遺伝子の編集技術「CRISPR/Cas9」は、現在最も効率よく遺伝子の編集ができる方法として広く使用されている。

 しかしこの方法には欠点もある。目標以外にも、編集部分に似た遺伝子配列があると、そちらも間違えて編集してしまうことがあり、思いもよらない副作用がおこる可能性があるということだ。さらに、今回取り除いたHIV感染を引き起こす遺伝子CCR5について、この遺伝子をもともと持たない人々は、インフルエンザなどの他の感染症で亡くなるリスクが高いことが分かっている。

 これだけではなく、遺伝子編集による影響は未だ解明され尽されてはいない。そして編集された遺伝子は、後の世代に遺伝しその子孫にも影響をあたえ続けていく。

 また、「デザイナーベビー」という問題も生まれてくる。親が望むような容姿や能力を持つ赤ちゃんを遺伝子操作で作り上げることになり、これは倫理的な問題を含んでいる。

 人間の受精卵はいずれ一人の人間になる存在であり、むやみにその命を実験台にするのは問題だ。それでも受精卵を用いた研究は、医療や科学にとって重要な成果を得られる可能性を秘めている。しっかりした議論のもと、進歩をとめず倫理を守る法整備をしていくことが大切になっていくだろう。(記事:室園美映子・記事一覧を見る

関連キーワード中国厚生労働省HIV(ヒト免疫不全ウイルス)ゲノム遺伝子

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