太陽フレアによる放射線の影響、惑星毎に算出 京大など

2019年7月17日 17:40

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研究の概要図(写真:京都大学の発表資料より)

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 生命が居住可能なハビタブルゾーン。京都大学、国立天文台、日本原子力研究開発機構、米航空宇宙局ゴダード宇宙飛行センター(NASA/GSFC)から構成される国際研究グループは、太陽が放つスーパーフレアが、ハビタブルゾーンへどの程度影響を与えるかを算出した。

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■惑星に甚大な被害を及ぼすスーパーフレア

 太陽等の恒星の大気で観測される爆発現象が太陽フレアである。大規模なフレアは、通信障害をはじめ、極域で観測されるオーロラの発生まで様々な影響を地球に及ぼす。通常の太陽フレアの数百倍から数千倍にも及ぶものは、「スーパーフレア」と呼ばれる。大規模なスーパーフレアが発生すれば、長期間の停電など人類へも大規模な被害が及ぶ。

 スーパーフレアは生命が居住可能な「ハビタブルゾーン」をもつ惑星にも大きな影響を及ぼす。ハビタブルゾーンをもつ太陽系外惑星は、太陽よりも表面温度が低く光度も暗い「M型星」周辺で多く発見されている。M型星の一部はスーパーフレアを発生するものの、発生頻度や規模、被ばく量などその影響の大きさを定量的に扱うのは困難で、詳細は不明だった。

■太陽系外惑星や火星への影響を算出

 研究グループは、恒星におけるフレアの発生頻度やエネルギー分布、惑星周辺の大気の組成や厚さを考慮したモデルを構築し、スーパーフレアが惑星地表に及ぼす放射線の強度を推定した。その結果、地球のように、1気圧ほどの高濃度の大気条件を持つ表面環境では、地表の放射線の強度は1から数ミリシーベルトと生命環境に影響を及ぼさない程度だと判明した。

 その一方で、太陽系に最も近い系外惑星の「プロキシマ・ケンタウリb」は大気が薄いため、放射線の強度が10シーベルト近くに及び、生命に危険な影響を及ぼしうることも判明した。プロキシマ・ケンタウリbは主星からの紫外線の影響が強く、地球の70倍程度に大気が周辺に散逸しているのだという。

■火星への有人飛行計画にも影響

 また近年有人拠点建設計画などが進む火星におけるフレアの影響も計算された。これまで観測された太陽フレアにより、大気への透過力の大きい事象で被ばく量を算出したところ、火星表面では500ミリシーベルトに及ぶことが判明した。火星は地球のように磁場をもたず、大気圧も0.007気圧と地球に比べ非常に小さいことが原因として挙げられる。

 月や火星の探査において、宇宙放射線による被ばくを予想し、危険性を回避する方法が確立されることが重要だと考えられる。研究グループはNASA/GSFCや関連機関と連携を強化し、方法確立を目指すとしている。

 研究の詳細は、米天文物理学誌Astrophysical Journalオンライン版に掲載される。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連キーワードNASA国立天文台京都大学火星惑星

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