TDK、日立造船の全固体電池実用化へ 中国・CATLは疑問を呈す

2019年6月27日 07:18

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TDKが開発した全固体電池「CeraCharge」。(画像: TDKの発表資料より)

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 エネルギー密度を劇的に上げることができ、充電時間をガソリン給油時間に匹敵するほど短縮できると期待される「全固体電池」が量産開始直前となっている。TDKが小型全固体電池を量産開始、日立造船が自動車用などを目指して開発、製造を急いでいる。その一方、世界最大の電池メーカー中国・寧徳時代新能源科技(CATL)は「全固体電池の実用化は2030年代までない」と見込んでいることを表明している。

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 TDKは、ボタン電池を電子基板に装着できるチップ型の「セラチャージ」という名称のセラミック系の全固体電池を開発した。これは、搭載機器を小型化して、充電も可能にできるとしている。現在、月3万個のサンプル生産を行っており、間もなく本格量産を開始する。

 また日立造船は、電解質に硫化物系材料を使用して、0.3ミリ厚のシート状の全固体電池に仕立てた。すでにサンプル出荷をしており、19年度中の商品化を目指している。

 日立造船は、造船事業が低迷し始めてから40年余り、生き残りをかけて業種転換を進めてきている。今回の全固体電池は、プレス機械製造の子会社で手掛けるプレス機の技術により、「粉末の電解質を押し固める製造技術」を確立したようだ。これまでの固体電解質を作る技術は「液体を何度も乾燥して固体にする」手法だが、プレスで押し固めることができると大幅にコスト削減ができ、量産品としての製造技術において実用化の目途がたったこととなる。

 日立造船グループにとっても、未来の自動車産業の主要技術として、また電気製品の小型化にも重要な技術となることが期待され、主要産業になる期待がある。手始めに宇宙産業の機器に使うことは、性能面や当面のコスト面から言っても当然のことと見られる。期待は大きい。

 一方で、中国・CATLが全固体電池は2030年代まで実用化はないとしているのは、主にコスト面でのことで、現在のリチウムイオン電池改良型に追いつかないと見ているのであろう。また中国市場では、EV車にガソリン車ほどの実用性を望むニーズがないためでもあろう。

中国の自動車市場は高性能ガソリン車の経験が浅く、一般国民が比較検討する基準が低いと言える。そのため重量が重く、航続距離が短く、充電に時間がかかっても、自動車とはそうしたものだとの理解で進んでいける市場であるのだ。

 中国では、現在の日産・リーフなどの性能であれば十分に実用になるのであり、コスト高を招いてまで全固体電池を導入していく市場ではない。一方、欧米、日本市場ではガソリン車と同等以上の実用性能が求められるため、全固体電池のエネルギー密度の向上と充電時間の短縮は、BEV車普及には必須となるのであろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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