国際的金融機関のレポートで改めて覚えた「元安」「円高」の危惧

2019年6月24日 12:13

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 金融機関というのはこんな発信が出来て初めて「国際的」の冠がふさわしい!な、と痛感させられる事由に出会った。ともに配信元は、ブルームバーグである。

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 一つは6月18日の配信。米金融大手のゴールドマンサックス(GS)が17日までにまとめたレポートで「中国人民元の対(米)ドル相場は、今後3カ月以内に1ドル・7元台まで値下がりする」との予測を公に示した。報道に接し、改めてドル・元相場の昨今の動きをチェックしてみた。

 25日移動平均線はこんな推移をしていた。4月1日は「1ドル:6・7145元」、それが6月19日には「1ドル:6・9275元」と元安が進んでいた。中国の金融当局の姿勢は「(対ドルで)7元台への値下がりは許容できない」と伝えられている。

 ではなぜGSは「7元台まで値下がり」の可能性を推測したのか。ブルームバーグは専門筋の読み方として、こう伝えている。「日本で開かれる今月末のG20の場を活かし、トランプ大統領と習近平国家主席が会談をすると伝えられている。その場で世界を納得させ、安心させるだけの成果が得られなければ、元が7元台まで値下がりする可能性が高い」。

 説得力を持つ。何故なら「会談不首尾」となれば、米国の対中関税引き上げが予定通りに進む危惧が膨らむ。そうなると中国側としては好むと好まざるとにかかわらず為替動向で、「関税引き上げデメリット」を相殺する道を選択することが十分に予想されるからだ。

 そうなれば米国の「中国、為替操作国」論が高まり、ことは泥沼化しかねない。逆に言えばトランプ大統領のツイッターでの対中首脳会談に向けたリップサービスとは別に、国際的金融機関には「予断を許さない」という姿勢が強いことを意味していると捉えることが出来る。

 一つは6月19日の配信。米投資銀行大手のモルガンスタンレーのストラテジストチームは、S&P500種を構成する企業の2020年の1株当たり利益(EPS)の平均値を「162ドル(約1万7600円)」と予想したと伝えた。162ドルは19年見通しとほぼ同水準。米国主要企業の収益は2年連続の悪化となることを意味する。

 チームのリーダーのマイク・ウィルソン氏は顧客向けレポートで「貿易摩擦が悪化しなかったとしても、我々の利益モデルは向こう1年のEPS見通しについて既にマイナスの伸びを示していた」とした。

 米国FRBは周知の通り先のFOMCで「年内の利下げ」を示唆し、パウエルFRB議長は、「成長継続に対応」と言及している。外為市場では年初に1ドル:104円台が示現している。ドル・円相場の先行きに危惧が膨らみかねない。

 日本の金融機関も大そうな陣容の研究機関を有している。「世界に向けて価値ある発信は出来ないのか」が、素朴な疑問でもある。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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