国際会計基準(IFRS)はグローバルスタンダードになるのか?

2019年6月17日 07:46

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 海外事業を展開する(上場)企業を中心に、IFRS基準(国際会計基準)を採用する企業数が増加傾向にある。5月31日時点の東京証券取引所の上場企業総数は3664社。このうち「採用予定」という企業を含めると、適用企業総数は212社。6%弱水準に過ぎないが東証では、「IFRS基準企業として新規に上場してくる企業(過去19社)もあり、トレンドとしては増加傾向にあると認識している」とする。

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 最も早く採用したのは、日本電波工業(2010年3月期)。車載用・通信用を主体に世界トップクラスの水晶デバイスメーカーで、海外売上高比率は8割に達している。採用年次は異なるが企業をフォローしていくと、ソフトバンクグループ・ファーストリテイリング・本田技研・花王・日本電気・アサヒグループホールディングス・キリンホールディングス・ユニチャーム・パナソニック・テルモetcの社名に出会う。

 また新規上場時の採用企業としては、MBOを挟み14年10月に再上場したすかいらーくや国内最大級の技術系人材派遣会社を傘下に持つテクノプロ・ホールディングスetcがある。更に「決定組」としては「今12月期から」としているカゴメの他に「今期組」とし東レ・良品計画や、「時期は未定」だがその動向が注目されている東芝も含む27社の企業がカウントできる。

 では日本基準とIFRS基準の違いはどんな点か。企業会計に詳しい向きが「主たる違い」とするのは、以下の様な点。

 ★利益: 経常利益がある日本基準に対し、IFRS基準には相当する項目がない(以下、比較順同様)。

 ★M&Aに伴う資産評価: 相手会社の資産を簿価評価で引き継ぐ例外的処理が存在。時価評価。

 ★M&Aに伴うのれん代: 20年以内で定期償却。定期償却でなく減損処理。

 ★年金資産: 積み立て不足は一定期間で費用処理。バランスシートに反映。

 ★在庫評価: 後入れ先出し法が可能。禁止。

 主たる違いだけみてもIFRS基準の採用は「M&A戦略が執りやすくなる」プラス点や、逆に年金資産積み立て不足では「財務内容の悪化」懸念がつきまとう。

 一方、IFRS採用に前向きな姿勢を見せる企業には意外な?業態の企業も出てきている。介護業界で大手格のウチヤマホールディングスなども、そんな1社。

 前3月期の決算短信の『会計基準の選択に関する基本的な考え方』で、「現在のところ当社グループの活動は国内が中心であるため、当面は日本基準を採用することにしている。だが今後、企業のグローバル化に伴い海外の投資家・金融機関の意思決定に重要な役割を果たすものとしIFRS適用の必要性が高まると考えている。適用時期等を含め検討を進めていく方針」と明記している。

 専務取締役経営企画室長の山本武博氏は問い合わせに「当社の株式の7%近く(18年9月末時点)を外国人投資家が保有している。IFRSは遠からずグローバルスタンダードになるとみている」と答えを返してきた。

 先の企業会計に詳しい向きは「今後IFRS採用の動きを加速させる最大の要因としては、米国流基準を採るアメリカ企業のIFRS採用だろう」とした。国際会計基準採用の足音がヒタヒタと迫ってきている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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