「VUCA」な令和時代には副業で備えを

2019年5月31日 08:35

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 最近ビジネスシーンでは、「VUCA」という用語が多く登場するようになっている。

【こちらも】キャリアの「ハシゴ」として副業を利用するという発想

 「VUCA」とは、「Volatility(予測不能性)」、「Uncertainty(不確実さ)」、「Complexity(複雑さ)」、「Ambiguity(曖昧さ)」の頭文字をとった用語だ。米中貿易摩擦、ブレグジット問題、ヨーロッパの移民問題、そして中東での紛争と、世界経済の不安定な状況を表現している。

 昨今、この「VUCA」は我々の生活にとっても無関係な話ではなくなってきている。

■キャリアデザインの再考に迫られる

 国民皆保険・年金・終身雇用は、昭和が作った、日本式キャリアデザインの基本を支えてきたものだ。

 そして平成から令和となった現在、その基本が揺らいでいる。この出来事が意味するところは、老後から逆算する、これまでのキャリアデザインの見直しに迫られているということだ。

 しかし代替案は、誰からも用意されていない。文字通りの”自己責任”が問われる時代になった。これからは、個人レベルで「不確実な時代」に対応していかなければならない。

 長期的な見通しが立てづらいが、かといって目の前だけを見ていては、全てが場当たり的になってしまう。

 日々の仕事と生活に追われながら、こうしたことについて建設的に考えるのはとても困難だ。共働きの子育て世代なら、なおさら難しいだろう。

 だがワークライフバランスも含め、今後も環境が大きく変わっていくことは容易に想像できる。経済的な問題だけでなく、生活の豊かさを考えた場合にも、早いうちから備えておく必要があるだろう。

■収入の多様化はもはや必須

 副業が盛んなアメリカでは、”収入の多様化”がその大きな動機となっている。社会保障や福祉については、ヨーロッパに比べるとアメリカは手厚くない。ハイクラスの労働者を除けば、経済的リスクや健康的リスクにも”自助”努力が大きく必要とされる。

 個人での備えが必要となる日本にとって、こうしたアメリカの副業の捉え方は大きなヒントを与えてくれるだろう。

 副業することは、経済的にさらに豊かになるだけではなく、将来的な経済的リスクを分散させる効果もあるのだ。今まで以上に非正規雇用が増加すれば、この効果もさらに増すだろう。

 「VUCAな時代」は、個人レベルで体感できるようになってきている。令和という新時代の到来と共に、我々にも変化が求められているのかもしれない。(記事:西島武・記事一覧を見る

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