IoT技術活用した競技ヨットのチューニング実証試験を開始、ヤマハと富士通

2019年3月12日 13:00

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実証試験の概要(ヤマハ発動機発表資料より)

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 ヤマハ発動機と富士通は、小型のセーリング競技艇である470級セーリングディンギー(ヨット)に各種センサーを装着し、IoT技術を使って、セーリング時のチューニング性能向上の実証試験を開始すると発表した。実証試験は、静岡県の浜名湖で3月13日から4月30日まで行われる。

 オリンピックにも採用されているセーリング競技では、選手は、船に固定されたセール(帆)で風を受けて海上のコースを周回し、順位を争う。セーリングでの船の推進力は、セールの表面を流れる風で発生する揚力を使う。飛行機が、羽根の上下面を流れる風の速度差で揚力を発生させ、機体が空中に浮かぶ力を発生させるのと同じ原理である。

 そのためセーリングでは、風の状況に合わせて、セールの風への角度、膨らみ具合などをセールの各所に固定されたシート(ロープ)を使って、こまめにチューニングすることが速度差に繋がる。

 そこでヤマハ発動機と富士通は、セーリング競技選手の操船技術向上を支援するため、練習艇に艇体の姿勢を計測する9軸センサー(加速度、ジャイロスコープ、地磁気)、艇速や位置・針路を計測するGPSセンサーを搭載して、帆走のデータを収集する。その上で、各選手に合わせた最適のチューニング法を導き出し、選手のトレーニングを科学的に支援していくことをめざす。

 本実証実験を含めた選手のトレーニング支援活動を「プロジェクト470セーリングアナリシス」として、ヤマハ発動機は、船の帆走性能の計測とチューニング実験を担当する。富士通は、船に設置したセンサーから得られるデータを同社のクラウド上で解析し、艇体の速度や針路、姿勢などを船に設置されたモニターに可視化、選手のチューニングに役立てる。

 今回は船本体の挙動データ収集と、選手へのフィードバックシステムを開発したが、今後両社では、さらにセールや選手の身体の動きといったデータも収集し、選手のスキルアップトレーニングに貢献していくという。

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