自宅が売れなくなる?「省エネ基準」義務化 省エネ対策済43% 資産保全が目的

2019年2月19日 09:49

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記事提供元:エコノミックニュース

2020年、住宅「省エネ基準」義務化を前にリビン・テクノロジーズが「住まいの省エネ対策」について意識調査。義務化の認知度は25%。不適合住宅は「売却時に不利」55.1%。省エネ対策実施済み43.0%。

2020年、住宅「省エネ基準」義務化を前にリビン・テクノロジーズが「住まいの省エネ対策」について意識調査。義務化の認知度は25%。不適合住宅は「売却時に不利」55.1%。省エネ対策実施済み43.0%。[写真拡大]

 政府は2020年から住宅に対する省エネルギー基準の適用を義務化する方針を示している(ただし小規模住宅については適用先送りとなっている)。資源エネルギー庁の推計では住宅・建築部門のエネルギー消費量は全体の3分の1を占め、1990年代からの増加率は30%を超えており、その結果この部門のCO2排出量は90年頃と比べ50%近く増大している。

 日本の住宅は国際基準から見ても断熱性能が低いなど国際的な批判を受けてきた。こうした背景から政府は住宅の省エネ化を目指しガイドラインであった基準を義務化する予定だ。しかし、この義務化は住宅市場に大きな影響を与えると指摘されている。80年代以降の耐震性強化や高齢化などの影響で中古住宅取引は活発だが、新省エネ基準に適合しない住宅は資産価値が下落する可能性が大きい。

 リビン・テクノロジーズが20歳以上の全国の男女207人を対象に1月に実施した「住まいの省エネ対策」に関する調査の中で「省エネ基準義務化」に関連したアンケート結果を公表している。

 「住まいの省エネ対策をしているか」とい問いに対して、「している」と回答した者は「戸建て」で39.6%、「集合住宅」で3.4%、合計すると43.0%が省エネ対策をしていると回答している。省エネ対策の内容については、LED照明が76.4%で最も多く、次いで「二重窓」40.4%、「節水シャワーヘッド」36.0%、「太陽光発電」と「断熱材」が共に31.5%となっている。対策をしていない者にその理由を聞いたところ、「初期費用がかかる」が最も多く、コストが大きなネックとなっているようだ。

 「省エネ基準適用義務化」の認知度については、全体の25.1%が知っており「対策をしている」者では31.5%、「していない」者では20.3%となっており、対策をしている者の方が10%高くなっている。「今後、基準に適合しない住宅は売りにくくなるか」という質問に対しては、「そう思う」との回答は55.1%と半数以上の者が売りにくくなると予測しているようだ。省エネ対策をしないと自宅の資産価値が下がると予想しながらコスト面から省エネ対策を行わない者が半数以上存在する。

 東京都など省エネ住宅の建築費を補助する自治体も存在する。住宅の省エネが進めば月々の光熱費も節約でき消費の改善にもつながる。その結果、CO2削減にもつながるのであるから、政府や自治体にはコスト面から住宅の省エネ対策を支援する施策を積極的に行ってもらいたい。(編集担当:久保田雄城)

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