一考察、高齢化社会の生活保護

2019年2月5日 15:55

小

中

大

印刷

画像はイメージです。

画像はイメージです。[写真拡大]

写真の拡大

 昨年12月16日の北日本新聞(富山県)・電子版で「入浴週1回しか・・・ 生活保護費7割世帯で減額 県弁護士会18日に無料相談“迷わず電話を”」と題する記事に接した。生活保護費の「生活扶助費(暖房費・光熱費・食費)」が10月にまたも減額されたことに伴う、県内の60歳代の女性からの「10月以降は寒くても入浴は週1回にしている。食費を圧迫してしまうので」という相談がキッカケだったという。この時点では「気の毒に」という思いは抱いたが、その限りにとどまっていた。

【こちらも】生活保護、人員と世帯は減少も高齢者世帯は増加続く 厚労省発表

 事情により生活保護を受けている人たちは一様ではない。が、1月9日の厚生労働省による昨年10月時点の「生活保護状況」を知り、一歩踏み出して考えてみたいと思った。厚労省によると「65歳以上の単身高齢者世帯の生活保護受給が過去最多を更新した」という。65歳以上の単身世帯の生活保護受給数は前年比1,649世帯増の80万4,964世帯に及ぶというのだ。

 受給者の多くは公的住宅に住まい、住居費は大方が無料。受給額は広義の生活費に充てられる。「人生100年時代、70歳まで就労を」と声高々に叫ばれている。だが記したような現実が一方で存在しているのも事実。東京第一弁護士会に所属し、月に1回のローテーションで「無料相談」に応じている知り合いの弁護士に聞いた。柄にもなく胸が痛んだ。「どんな(生活保護に関して)相談を受けたことがあるか」と質した。「一口で言うと、生活保護の窓口になる行政担当部署に対する?」とした。具体的に聞いた。こんな案件を教えてくれた。

★生命保険の解除の有無。受給を申し込みに行った際、生命保険の加入の有無を聞かれた。「亡くなった主人が私を受取人に加入したしたものが」と答えると、「その証書を持って出直してください」と言われた。早々に持参すると「おばあちゃん、これは貯蓄型の終身保険だから即刻解除してください」と言われたという。法律的には窓口の担当者と対峙することは難しい。が、相談者の「私は死んでも葬式すらできない」という言い分には、彼も一役買おうという気になったという。

★やはりエリアの民生委員から勧められ申し込みをした70歳近い妻に先立たれた老父は、「3親等内、って分かりますよね。その人達の連絡先を持ってきてください」と言われたという。老父は迷ったという。持っていけば担当者が各人に「扶養の義務を説くに違いない。疎遠に近い状態にある彼らに生活保護の申請の事実を知られてしまう」と考えたからだという。

 等々、書き出したらきりがない。老骨に鞭打って「パートでも何でもして働きたい」と思っても、早々右から左に見つかるものではないのが現実ではないだろうか。「(生活保護費を)騙し取ろう」などという老人はいないと信じたい。対して諸々調べたが生活保護費は「極力拠出したくない」という、行政側の思惑を前提に成り立っていると痛感した。高齢化社会進捗の中で、つくづく考えさせられる問題と捉える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード高齢者厚生労働省生活保護弁護士