カルロス・ゴーン再逮捕で何が起こる(2) 3社は一体 ゴーンは既に日産を追われている

2018年12月21日 11:58

印刷

■カルロス・ゴーンは既に日産を追われている

 カルロス・ゴーン容疑者が保釈された場合でも、ルノー側は、現役ルノー会長としてカルロス・ゴーンに強権を振るわせるのも難しい情勢だ。

【前回は】カルロス・ゴーン再逮捕で何が起こる(1) 日産は「RAMA」で戦え! ルノー会長復帰もムリ

 何よりも日産社員は、カルロス・ゴーンの公私混同や高額報酬に賛同するものは少ないからだ。彼が日産を再び主導することは避けなければならない情勢だ。法的にルノー主導がかなっても、3社のアライアンスがうまく機能していくとはありえない。アライアンスの実態は生産体制の連動にあり、それは商品企画・設計・サプライヤーチェーンを含めて「品質保証体制」を確立し、ジャストインタイムを実現しなければならないからだ。その実現には、「ルノー・日産の社員のアライアンス」がうまく機能しなければ実現は難航する。それは「第4次産業革命」と言われる自動車業界革命期において、致命傷となる可能性がある。

 「有罪か否か?」と言った法的問題の議論ではなく、日産の社員や顧客の気持ちの問題だ。世界標準であると言ったあいまいな基準でもなく、働く人間の気持ちは30億円の報酬を許すことはない。押さえつけられた気持ちでは、日産社員が日産を見限ることもあり得るのだ。すると、率先して働く社員を「ルノーにゴマする社員」としてとらえることになるだろう。サプライヤーチェーンまで含めた協力体制を築くのは困難になる。開発の主導権を日産社員に戻すことだ。

■既に3社は一体、アライアンスを破壊するな

 マクロン大統領は窮地にあるが、それは「上から目線」の高慢さが国民に嫌われていることが大きい。日産を株式比率で支配していても、実力ではルノーが日産に及ばないことをどのように理解して、両者のアライアンスが機能するようにできるかだ。人間の組織は、金による支配だけでは何ともできない。それが、民主主義だ。中国の姿勢とも、アメリカファンドとも、フランスは違うことを見せてほしい。

 3社アライアンスは良いバランスで機能しようとしていたが、唯一懸念は、実力で日産がルノーを上回っていることだ。それでもマクロン大統領がフランス経済の都合で、強引に3社アライアンスの主導権を握り、フランスに雇用を持ち込もうとすれば、コスト高となり世界的競争に3社とも敗れる危険がある。ここは、日産にとってもアライアンス解消はできないのであり、ルノーは日産の実力を認めて、最も効率的に考えることだ。既に、3社は1社として捉えるしか道はない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事