ソユーズ打ち上げ失敗 ISS運用と今後への影響は

2018年10月14日 21:30

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救助された乗組員と抱き合う家族たち(C)NASA / Bill Ingalls

救助された乗組員と抱き合う家族たち(C)NASA / Bill Ingalls[写真拡大]

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 10月11日午前4時40分、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から発射されたソユーズMS-10宇宙船が打ち上げ直後に異常を感知し、打ち上げが中止となる事態となった。搭乗していた2人の宇宙飛行士は脱出して無事だった。補助ブースターの切り離しが正常に行われず、ロケット本体と衝突したことが原因のようだ。

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■ISSへの影響は

 今回打ち上げられたソユーズは、人員交代のため2人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)へ送り届けるためのものだった。この事故を受けて、当分は2018年6月からISSに滞在中の3人による運用が続くことになる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)などによると、ISSには数カ月分の食糧備蓄のほか、今後も生活物資運搬のための宇宙船の打ち上げ予定があることから宇宙飛行士の生命に危険が及ぶことはないようだ。

 また彼らがISSへやってきた際に使用されたソユーズが帰還用として連結されているため、いざとなれば地球に戻ることも可能とされている。ただソユーズの軌道上での寿命は6カ月しかないため、別のソユーズが打ち上げられなければ彼らは12月には地球に帰還する可能性も出てくる。ISSを無人で放置することにより、故障などへの対応が遅れ深刻な問題へと繋がることを懸念する声も上がっている。また2000年から続いていたISSの利用が途切れることにもなるが、長期滞在による宇宙飛行士たちの体の負担を考えればそのような選択も躊躇すべきではないだろう。

■今後の宇宙計画への影響は

 今回の事故で2人の宇宙飛行士がISSへ到着できなかったことから、日本の実験棟「きぼう」で行われるはずだった実験計画も担当者の見直しなど変更作業を余儀なくされている。今年9月に日本の輸送船「こうのとり」がISSの主電源として運んだリチウムイオン電池の取り替え作業も実施できるかどうか不明だ。またソユーズは現在ISSへ人を運べる唯一の手段である。そのため今回の事故の原因解明とその対策実施に時間がかかると、地球全体の宇宙計画に影響が出てくると言っても過言ではない。既に2019年の終わり頃から約半年間ISSへの滞在が予定されている野口聡一宇宙飛行士や再来年に滞在予定の星出彰彦宇宙飛行士の予定にも影響が出るおそれがある。

 今回の事故は改めて「宇宙への困難」を浮き彫りにしたと言える。人命にこそ傷はつかなかったが、ISS滞在中の宇宙飛行士たちはどのような思いでこのニュースを耳にしただろうか。最近宇宙旅行が身近に感じられるようなニュースばかりが躍っているが、そこには憧れや夢だけでなく現実や相当の覚悟が存在することを忘れてはならない。(記事:秦・記事一覧を見る

関連キーワードリチウムイオン電池宇宙航空研究開発機構(JAXA)国際宇宙ステーション(ISS)

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