第2の地球を探す新観測装置IRDが8月から本格的に稼働

2018年7月25日 21:53

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IRDの模式図(写真:アストロバイオロジーセンターの発表資料より)

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  • IRDにより実際に撮影した画像(写真:アストロバイオロジーセンターの発表資料より)

 アストロバイオロジーセンターは7月2日、IRD(InfraRed Doppler)と呼ばれる系外惑星探査装置による天体観測を2月に成功したと発表した。IRDはすばる望遠鏡用に製作された赤外線を活用したドップラー装置で、これによりすばる望遠鏡から第2の地球を探索することが可能になる。

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 IRDは、アストロバイオロジーセンター、国立天文台、東京大学、東京農業大学、東京工業大学の研究者を中心として開発と製作が進められた。今回の発表は、IRDが実用段階に入ったことを意味する。

 系外惑星とは、太陽系の外側にある恒星を周回する惑星のことだ。天文学だけでなくアストロバイオロジーと呼ばれる、宇宙の生命を研究する分野でも、系外惑星の探索はホットなトピックとして注目を浴びる。

 惑星探査装置としては、アメリカ航空宇宙局NASAが運用するケプラー宇宙望遠鏡が代表的だ。現在、5,000個もの系外惑星やその候補が発見されている。確実な系外惑星のうち最初に発見されたのは、1995年のペガサス座51番星周辺の惑星だ。中心星を4日ほどで周回し、木星の半分の重さであるこの惑星は、表面温度が1,000度を超えることから、「ホットジュピター」とも呼ばれる。

 系外惑星のなかには、「ハビタブル惑星」と呼ばれる、生命が居住するのに適した可能性のある惑星もある。ところが、これまで発見されたハビタブル惑星は数が少ないどころか、地球から遠く離れたものばかりだった。そのため、地球の近くに存在するハビタブル惑星を発見し、その特徴を調べることは、アストロバイオロジーにおいて重要な課題といえる。

 IRDで探索するのは、「M型星」と呼ばれる恒星を周回する惑星だ。M型星は太陽よりも軽いため、惑星が地球に近い温度になるためには、恒星との距離が近い必要がある。そのため、惑星の公転周期も地球に比べてずっと短くなる。短期間で多くの周期を観測できれば、系外惑星を発見できる確率が上昇する。

 M型星は小さく暗いため、星を観測することは困難である。そこでIRDと呼ばれる高分散分光器を用いる。公転による星のふらつきのため、星の内部から現れる、特定の波長の光が弱い吸収線の位置も移動する。IRDにより吸収線のふらつきを測定することで、惑星の重さや公転周期を決めることができる。

 研究グループは、IRDの開発に約8年の期間を費やした。2月に最初の観測に成功したIRDは、8月から世界中の研究者によって利用可能になる。今後、すばる望遠鏡で本格的にIRDが稼働される予定だ。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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