吉野家、高齢者向け牛丼の具を病院などに提供 給食事業者としては初

2017年9月7日 21:08

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実際の提供風景(写真: 吉野家の発表資料より)

実際の提供風景(写真: 吉野家の発表資料より)[写真拡大]

 吉野家は7日、高齢者向け牛丼の具「吉野家のやさしいごはん」を、エームサービスを介し8月より病院や高齢者施設へ提供開始したと発表した。給食事業者としては初めての取り組みとなる。

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 「うまい!やわらか!たべやすい!」をコンセプトにした牛丼の具は、咀嚼機能や嚥下機能が低下している人でも食べられるように調整されたもの。弱い力で噛めるよう小さく加工された「やわらかタイプ」と、舌ですり潰せるほどにまで刻んだ「きざみタイプ」の2種類が用意され、当初は介護施設のみを対象として2月に販売を始めた。

 高齢者にとって、例えば筋がある肉や厚みのある肉などは食べづらい。加えて、一口では食べられない大きさであったり、皮や脂身がある肉も同様だ。従来通りに肉や玉ねぎを使用していては、高齢者が食べられる牛丼の具は用意できなかった。

 そこで、吉野家は高齢者にも自社の牛丼の味を楽しんでもらえるよう、1年以上、100回以上の試作を経て新たに開発。味はもちろん、厚生労働省が規定する1日の塩分摂取量や、高齢者が抱える病気にも配慮した。

 「吉野家のやさしいごはん」では肉の筋がない部位を使用。長く煮込んでも歯ごたえは変わらない。また、薄くスライスされ、食べやすいサイズにカットした小さめの肉により、弱い力でも噛みやすくなっている。さらに、通常100gあたり1.7gある食塩相当量も1.1gまで大幅に下げされており、塩分も控えめだ。

 それでいて、吉野家で出される牛丼と変わらない味が楽しめるという。丼は吉野家独自の和風柄が描かれたメラミン製のものを使用。小ぶりなサイズとし、より持ちやすくもなっている。

 吉野家は、高齢者の食環境づくりに努めるエームサービスに商品を提供し、同商品は8月より病院などの施設で販売されている。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る

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