納豆値上げは業界に波及するか

2016年2月4日 14:41

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記事提供元:エコノミックニュース

 アベノミクスでは物価上昇2%を目標としているが、実際に身近なものが値上げされると痛い。それも、アベノミクスとは別次元の理由ならなおさらだ。

 ミツカンは、納豆製品6品目の参考小売価格を3月31日出荷分から約4~10%引き上げると発表した。理由は、天候不順で原料に用いる国産大豆の価格が高騰しているためとした。同社の納豆の値上げは1997年に納豆業界に参入してから初めてとなる。

 10%値上げされるのは、「金のつぶ パキッ! とたれ国産小粒3P」(40グラム入り3パック)などで、税抜きで168円から185円に引き上げられる。同社では、「原料価格の上昇を合理化や効率化により吸収するべく努力を重ねてきたが、ここ数年の急激な大豆価格の高騰は、企業努力の限界を超える大変厳しい状況となっている。やむを得ず価格を改定した」としている。

 農林水産省によると、大豆の生産は気象災害の影響を大きく受け、それに伴い価格も激しく変動する。2013年産の生産量は、前年産から3万6,000トン(15%)減少し、19万9,900トンとなり、翌14年は前年産から3万1,800t(16%)増加し、23万1,700トンとなった。価格については、13年までの10年ほどは60キロあたり7000~8000円ほどで推移していたが、14年には1万4,168円に急騰、15年も1万3,380と高止まっている。

 政府では大豆の目標生産量を32万トンと設定している。農家がそこまで頑張れるのか、流通加工段階でどこまで価格に反映させるのか。「企業努力を超えた」というミツカンの判断は、他社にも波及するのか注目される。(編集担当:城西泰)

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