味の素、パキスタンで事務所を設立 本格事業化

2014年4月18日 08:46

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記事提供元:エコノミックニュース

 16日、味の素<2802>はパキスタンのラホール市に事務所を設立し、同国で本格的な事業化に乗り出すと発表した。2015年をめどに、うまみ調味料販売のための現地法人設立の準備を進めるとしている。

 味の素によれば、今回設立された事務所は15年の法人設立後に展開する商品や、その販売方法、出資形態を判断する以外に、現在販売されているうまみ調味料「味の素」の宣伝活動や販促促進を支援するとのこと。

 味の素は今、インドネシア工場の「味の素」をシンガポール経由で現地の卸売りなどに販売しており、パキスタンでは家庭料理やカレーなどでうまみ調味料が使用されているものの、そのシェアのほとんどは中国製や韓国製の商品が占めており、味の素のシェアは5%程度である。しかしパキスタンの人口は約1億8000万人とされており、それは今後もさらに増加するとみられている。また政治情勢も安定していることから、本格的な事業化を決定した。味の素はその中期経営計画にてイスラム圏の開拓を海外コンシューマーフーズ事業の要としており、今回の事務所設立はその一環である。

 味の素は1970年代からパキスタンにて「味の素」の輸入販売を手掛けており、それはパキスタンの食生活に浸透しているという。そしてこの5年間(09~13年)のパキスタンにおけるうま味調味料市場は年率15%の成長をみせており、それは今後も継続すると見込んでいる。

 東南アジアにおいて味の素は基盤を築いているが、今後の事業強化のためには中東やアフリカ諸国、そしてイスラム圏での展開が重要となってくる。イスラム圏ではイスラム教の戒律に基づき豚肉やアルコールの不使用を示す「ハラス認証」基準をクリアすることが不可欠だが、しかしすでにインドネシアやマレーシアなどのイスラム教徒が多く住む国々でその基準をクリアしており、こうした点はパキスタンにて事業拡大を図る上で大きな強みとなるだろう。

 そして味の素は、「うま味調味料からスタートしより加工度の高い調味料や加工食品への製品展開も可能で、今後、食品事業の拡大加速を図る」としている。(編集担当:滝川幸平)

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