AIでTESSデータを解析、116光年先の恒星に惑星候補の信号

(Javier Miranda/Unsplash)[写真拡大]
NASAの太陽系外惑星探査衛星TESSの公開データをAIで調べたスペイン在住の独立研究者、パベル・ラプツェビッチが、地球から約116光年の恒星に惑星の通過を思わせる信号を見つけた。約3.18日周期で繰り返す減光が中心で、本人は未査読の研究資料として分析結果を公開している。TESSの運用チームは、この恒星を対象とする追加観測を予定している。
■12万6000個超の恒星から候補を抽出
ラプツェビッチが調べたのは、12万6000個を超える恒星のTESSデータだ。AIを使った検索で注目したのは、オリオン座にある恒星「TIC 4206066」である。TESSは恒星の明るさを測り、惑星が手前を横切る「トランジット」に伴う周期的な減光を探している。
Scientific Americanの報道によると、この恒星は約3日ごとに約2時間、暗くなるように見えた。ラプツェビッチは過去の観測記録を調べ、同様の減光をさらに22回見つけた。本人が公開した分析資料では、約3.18日周期の信号について計23回の減光を報告している。
信号による明るさの低下は約0.05%だ。惑星がTIC 4206066を回っていると仮定すると、その半径は地球の約1.4倍と推定される。こうした大きさの惑星は一般に「スーパーアース」と呼ばれるが、この呼び名から組成までは決まらない。
■もう一つの信号と、残る検証課題
ラプツェビッチの資料には、約11.13日周期の、より弱い減光信号も記されている。これも同じ恒星を回る惑星によるものなら、推定半径は地球の約2.2倍だ。本人はこの信号を暫定的な結果として扱っている。
トランジットに似た減光は、対象の近くにある別の恒星や観測機器の影響でも生じ得る。ラプツェビッチの分析では、約3.18日周期の信号について、分離して観測できていない伴星を惑星が回る場合も検討課題として残る。Scientific Americanによると、2018年の減光の一部はTESSの姿勢制御用スラスターが作動した時期とも重なっていた。
TESS運用チームが公表した観測計画には、TIC 4206066を2分間隔で測定するラプツェビッチの提案が採用されている。観測期間は2026年10月31日から11月26日の予定だ。本人は新しいデータを調べる前に、信号が現れる時刻や結果の判定方法を公開した。
■AIと人間、それぞれの役割
ラプツェビッチによると、複数のAIエージェントがコードの作成、解析の実行、結果の点検を支援した。研究課題や検証手順、どの候補を公表するかは本人が決めたという。大量の観測データから調査対象を絞り込み、公開した計算をほかの研究者が確かめられる形にした事例だ。
Scientific Americanの取材に対し、天文学者のグレッグ・ラフリンは、この取り組みを人間とAIの協働例と評した。一方、MITの博士課程学生でTESSチームに所属するパブロ・メルカデル・ペレスは、検出フィルターが2020年にも同じ信号を拾ったものの、当時は証拠が十分でなく候補から除かれたと説明している。
メルカデル・ペレスによると、その後TESSの観測データが増え、2026年1月にはこの候補を検出しやすくなった。彼のチームの深層学習モデルも信号を抽出したという。また、天文学者ミシェル・クニモトのソフトウェア「LEO-Vetter」も2026年初めに候補を選んだと、同氏はScientific Americanに述べている。今後の観測では、信号の再現性と、その発生源を詳しく調べることになる。
元記事: Could AI Discover a New Planet? Amateur Astronomer Finds Promising Signal in NASA Data
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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