焼き鳥店チェーン:鳥貴族の回復基調は本物だろうか!?

2020年2月20日 07:03

 鳥貴族は2007年に現社長の大倉忠司氏により、大阪で産声を上げた。キャッチコピーは「国産鶏肉使用」「全品均一価格」。デフレ時代もあり、受け入れられた。相次ぐ出店、順調な収益動向が続いた。

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 だが大きな転換点を迎えたのは2017年。28年間続いた280円(焼き鳥&ドリンク)の均一料金を値上げしたのが契機だった。前19年7月期は5.5%増収も「29.2%営業減益、最終赤字」。ただ中間期開示と同時に当初計画の営業利益を約10億円下方修正(6億7800万円)としたが、着地は「11億9000万円」。回復の兆しを見せだしていた。

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 そして今7月期は「3.5%の減収(346億500万円)、10.0%の営業増益(13億900万円)、4億5400万円の純益」計画で立ち上がった。第1四半期は期初の中間期予想に対する進捗率「売上高49%、営業利益59%、純益68%」で通過した。

 また、既存店売上高の推移も11月:前年比101.7%、12月:101.7%に転じ8-12月は平均98.7%。前期の同じ時期は一度も100を上回ることなく平均92.14%。こうした一連の推移を追う限りは「立ち直り基調」を感じさせる。

 では、何をその背景として求めればよいのか。価格戦略を元に戻したわけではない。大倉社長は、こう公言している。

 「アメーバー経営を進めることで、ガス・電気・水道の費用が店舗レベルで毎月把握・管理できるようになった。店舗備品の管理も進んでいる。結果、前期に比べ毎月数千万円が戻っている状況で年間にするとかなりの額になる。アメーバー経営を最終的には、店長レベルにまで落とし込みたい」

 アメーバー経営は、京セラの稲盛和夫氏が提示した経営手法。アメーバーと呼ぶ集団単位で収支を管理する。19年度下半期に導入した。大倉氏は社内のアメーバー経営会議の全てに参加しているという。

 コスト管理を徹底して行うというわけだが、「守りの徹底」だけでは「新たな成長段階」は語りきれない。

 その意味で注目したいのは、昨年9月に発表した至る24年7月期に向けた新期中期経営計画。「売上高4500億円」を掲げているが、実現には店舗の統廃合と並行して新規出店が不可欠。

 中計では「22年7月期に、海外進出の橋頭保として米国・ロスアンゼルス店開業」を謳っている。守りと攻めの合体が同時進行しうるのか否かに、今後がかかっているといえる。

 大倉氏の「本気度」は、昨年10月の株主総会で清宮俊之氏と佐々木節夫氏を社外取締役に選任した点にも見て取れる。清宮氏はラーメン店:博多一風堂の前社長。アジア・欧米展開を果たした人物。佐々木氏はアメーバー経営のコンサルを手掛けるKCCSの前社長。

 株価は本校作成時点では2000円台前半から半ば。昨年の高値2498円を新年入り後2698円まで更新する動きを示している。今期の期初予想、第1四半期実績を好感している動きだ。が、繰り返しになるが本物の回復には、記したような「攻めと守り」の両輪の進捗にかかっているといえよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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