Schwab、対象顧客への暗号資産取引を全面展開 保管体制とSIPC保護の範囲は

2026年10月17日 17:36

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記事提供元:Tech Times

(Pexels/Leeloo The First)

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米金融大手Charles Schwabは10月15日、米国の対象となる個人顧客が「Schwab Crypto」を利用できるようになったと説明した。現在取引できるのはビットコインとイーサで、暗号資産の入出庫機能も段階的に導入している。暗号資産は証券口座と同じ画面で確認できるが、保管の仕組みと適用される保護は株式などと異なる。

■取引対象を広げ、送金も段階的に導入

Schwabは2026年4月にサービスを発表し、従業員向けの試験運用を経て、5月から個人顧客への提供を段階的に始めた。当初の取扱銘柄はビットコインとイーサに限られ、暗号資産を外部のウォレットと移す機能は設けていなかった。Schwabによると、発表当時、この2銘柄で暗号資産市場の時価総額の約4分の3を占めていた。

10月15日の秋季事業説明会で、リック・ワースターCEOはSchwab Cryptoを対象顧客が利用できる状態になったと述べた。一方、暗号資産の送金機能はSchwab Crypto口座の保有者に順次提供しており、利用可能になった顧客にはメールで知らせる。出庫先のアドレスは事前登録が必要で、Schwab Crypto口座間の送金には登録後24時間の待機期間がある。

利用にはSchwabの対象証券口座と、これに連携する別のSchwab Crypto口座の開設・承認が必要だ。2026年10月時点でニューヨーク州とルイジアナ州の居住者、米領土の居住者、米国外の顧客は対象外となる。同社の2026年9月末時点の顧客資産は13兆3300億ドル(約2110兆円)、稼働中の証券口座は4030万口座だが、この口座数がそのまま暗号資産サービスの利用者数を表すものではない。

Schwabは2026年第2四半期に、サービスの提供を支えるPaxosへ出資したことも説明している。2025年7月のCNBCとのインタビューでワースター氏は、他社で暗号資産を購入している顧客にもSchwabへ資産を移してほしいと語り、Coinbaseとの競争に意欲を示していた。

■保管の主体と投資家保護

Schwab Crypto口座を提供し、顧客の暗号資産の保管と記録に責任を負うのは、Schwab傘下のCharles Schwab Premier Bank, SSBだ。同社はPaxos Trust Company, NAにサブカストディと取引執行を委ねている。証券口座を提供するCharles Schwab & Co., Inc.とは、同じグループに属する別法人である。

米通貨監督庁(OCC)は2025年12月、Paxosの州認可信託会社から国法信託銀行への転換を条件付きで承認した。条件付き承認と転換の完了は異なる段階に当たる。Schwab Cryptoの保管体制は、顧客との口座関係を担うSchwab傘下の銀行と、サブカストディを担うPaxosから成る。

Schwabが取り扱う暗号資産は、証券投資者保護公社(SIPC)の保護対象ではなく、銀行預金でもないため連邦預金保険公社(FDIC)の保険対象にもならない。SIPCは加盟証券会社が破綻した場合に対象となる証券や現金を保護する制度で、上限は口座の保有資格ごとに50万ドル(約7900万円)、そのうち現金は25万ドル(約3950万円)だ。暗号資産を証券と並べて表示できる利便性と、資産ごとに異なる保護の範囲は分けて理解する必要がある。

SECと米商品先物取引委員会(CFTC)が2026年3月に示した解釈では、ビットコインやイーサなどが「デジタル商品」の例として挙げられた。また、SEC職員が2025年5月に公表した文書は、証券に当たらない暗号資産を証券会社が顧客のために保有する場合の規則の扱いを説明している。Schwabは証券会社による直接保管ではなく、傘下の銀行をカストディアンとする形を採った。

■手数料と競合サービス

Schwabの暗号資産取引手数料は、2026年10月時点で売買額の0.75%、最低手数料は0.01ドル(約2円)だ。Schwabは取引価格への追加スプレッドを設けないとしている。証券口座と連携した画面から取引できる一方、暗号資産の保有には別の口座を開く仕組みだ。

Fidelityの公式料金表では、Fidelity Cryptoの売買手数料は同時点で1%となっている。Morgan Stanley傘下のE*TRADEは、zerohashが提供する連携口座でビットコイン、イーサ、ソラナの取引に対応し、手数料は0.50%だ。SchwabとE*TRADEの差は、同額の取引なら0.25ポイントに相当する。

専業取引所Coinbaseの手数料は、利用する取引サービスや取引量、注文の種類によって変わる。証券会社のサービスを比較する際も、表示された手数料率に加え、取扱銘柄、送金機能、口座の保管主体を確認することが重要になる。

■年内追加を計画する3銘柄

Schwabは8月27日、ソラナ(SOL)、アバランチ(AVAX)、チェーンリンク(LINK)の追加計画を発表した。10月15日の事業説明会では、ワースター氏が3銘柄の提供開始を2026年末までに予定すると述べた。現時点の取扱銘柄はビットコインとイーサで、追加は今後の計画として示されている。

ソラナは取引処理の速さを重視するブロックチェーンで、アバランチは資産移転、スマートコントラクト、ネットワークの運営に役割を分けた仕組みを持つ。チェーンリンクは、スマートコントラクトに外部データを届けるオラクルネットワークを展開する。2023年に提供を始めた同社のCCIPは、異なるブロックチェーン間で情報や資産をやり取りするための仕組みだ。

Schwabのデジタル資産責任者ジョー・ビエトリ氏は8月の発表で、銘柄追加によって顧客がデジタル資産の配分を考える選択肢を増やせると説明した。Schwabで長く勤務し、傘下のoptionsXpressでCEOを務めたビエトリ氏の起用については、RIABizが2025年2月に業界関係者の見方を報じている。同記事でタイロン・ロス氏は暗号資産に詳しい人材の確保を課題に挙げ、マイク・アルフレッド氏はFidelityやRobinhoodに後れを取る一方、迅速に動けば追い付ける可能性があると述べた。

■収益の位置付けと次の展開

ワースター氏は10月15日、暗号資産取引と予測市場の商品を、取引に応じた新たな収益源として挙げた。SchwabはCboe Global Marketsと協力し、金融市場に関わるバイナリーオプションも展開している。一方、Schwab Crypto単独の取引高や収益、同サービスによって開設された口座数は公表していない。

Schwabの2026年第3四半期の全社収益は前年同期比17%増の約72億ドルで、1日平均取引件数は1070万件だった。第2四半期には収益約71億ドル、1日平均取引件数1190万件を記録し、上半期のコア純新規資産は2600億ドル(約41兆1000億円)に達した。これらは全社の数字であり、暗号資産事業の実績を示すものではない。

同社は現物の暗号資産取引を始める前から、暗号資産の上場取引商品や先物などへのアクセスを提供してきた。Schwabによると、2026年4月時点で同社の顧客は暗号資産の現物上場取引商品の約20%を保有していた。競合のFidelity Cryptoは2022年に始まり、Vanguardも2025年12月から第三者が運用する一部の暗号資産関連ETF・投資信託の取引を認めている。

米国では2025年7月に決済用ステーブルコインの発行を規律するGENIUS Actが成立した。発行主体には、保険付き預金取扱機関の子会社に加え、連邦または州の制度に基づいて認められた事業者も含まれる。ワースター氏は2025年7月の決算説明会で、まずビットコインとイーサの取引を始め、その後ステーブルコインの提供も検討する考えを示した。

デジタル資産の市場構造を扱うCLARITY Actは2025年7月に下院を通過したが、2026年9月15日の上院で審議入りに向けた討論終結動議は賛成49、反対50で否決された。Schwabも2025年第3四半期に54万ドル(約8530万円)の社内ロビー活動費を届け出ており、同法案を対象に含めていた。Schwabはさらに、登録投資顧問向けにも暗号資産の取引・保管・送金を広げる方針で、2027年半ばを目標としているとFinancial Magnatesが報じている。

元記事: Schwab Crypto Opens to All Retail Clients: Assets Bypass SIPC via Paxos Sub-Custody

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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