AMDのリサ・スーCEO、7カ月で2度目の訪韓 サムスン・SKハイニックスとHBM協力を協議

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米半導体大手AMDのリサ・スー会長兼CEOは10月7日、7カ月で2度目となる韓国訪問で、サムスン電子(Samsung Electronics)とSKハイニックス(SK hynix)の幹部に相次いで会った。両社は、AMDのAI向けシステム「Helios」に搭載する高帯域幅メモリ(HBM)の重要な供給先だ。スー氏は同日の記者会見で、主要パートナーと3~5年以上を見据えて協力する考えを示した。
■韓国2社と長期的な協力を協議
韓国メディアの報道によると、スー氏はSK hynixのクァク・ノジョンCEOと会った後、ソウルのSamsung瑞草社屋で半導体事業を統括するチョン・ヨンヒョン副会長と会談した。同日には龍山地区のソウルドラゴンシティで「AMD Gamer Day 2026」に参加し、報道陣の質問にも答えた。両社との新たな供給契約は発表されていない。
スー氏はSamsungとSK hynixをAMDの主要なサプライチェーン・パートナーと呼び、HBMでの協力を複数世代にわたって進める意向を示した。半導体の供給網は複雑であり、3~5年以上先を見据えた緊密な対話が重要だと説明している。Samsungとの協力については、既存のメモリ事業に加え、ファウンドリー分野にも可能性があると述べた。
調査会社Counterpoint Researchによると、2026年第2四半期の世界HBM売上高に占めるSK hynixの割合は50%、Samsungは33%だった。両社を合わせると83%に達する。同じ調査でMicron Technologyは18%を占め、HBM市場がこの3社に集中していることが分かる。
■Heliosが使うHBM4の規模
AMDが7月に発表したHeliosのラック構成は、Instinct MI455X GPUを72基、第6世代EPYC「Venice」CPUを18基搭載する。Pensandoのネットワーク機器、液冷設備、ROCmソフトウェアも組み合わせる。AMDの公表仕様では、GPUは1基当たり432GBのHBM4を備え、ラック全体のメモリ容量は約31TBとなる。
MI455XのHBM4は36GBのスタック12基で構成され、AMDが示すGPU当たりのピーク理論メモリ帯域幅は23.3TB/秒だ。同社の製品比較では、NVIDIAのVera Rubin GPUのメモリ容量は288GBで、MI455Xの432GBはこれを50%上回る。大容量のメモリと高い帯域幅は、大規模なAIモデルの学習や推論で扱うデータを演算器へ送るうえで重要になる。
AMDは、HeliosのピークFP4演算性能がNVIDIA Vera Rubin NVL72を15%、HBM容量とラック間のネットワーク帯域幅がそれぞれ50%上回るとしている。FP4の比較は両社が公表した仕様に基づく理論性能、ネットワーク帯域幅の比較も公表仕様からの計算によるものだ。Heliosは、アクセラレーター間の接続にオープン規格のUALinkをEthernet上で利用する設計を採る。
■メモリと先端実装を組み合わせる
HBMはDRAMのチップを縦に積み、シリコン貫通電極で接続することで、広い入出力経路を確保するメモリだ。HBM4ではスタック当たりの入出力幅が2048ビットとなり、前世代のHBM3Eの1024ビットから倍増した。広い接続幅によって、大量のデータをGPUへ送り込める。
AMDとSK hynixはHBMの初期開発と標準化に携わり、SK hynixは2013年に最初のHBMを開発した。AMDは2015年、HBMを搭載した「Radeon R9 Fury X」を発売している。現在のAMDはアクセラレーターを設計し、搭載するHBMはメモリメーカーから調達する。
HBMをGPUなどと一つのパッケージに組み込むには、先端実装技術も必要となる。TSMCは、複数の演算チップとHBMを統合するCoWoS技術を提供している。メモリの製造能力に加え、こうした実装工程の能力もAI向けシステムの供給計画に関わる。
■3月の覚書と顧客向け計画
スー氏は前回の訪韓である3月18日、Samsungの平沢事業場を訪れ、チョン氏と協力覚書を交わした。Samsungの発表によると、両社はMI455X向けHBM4の主要供給について足並みをそろえ、Venice向けの次世代DDR5も共同で進める。将来のAMD製品を対象とするファウンドリー協力の可能性も協議する。
Samsungは、AMDのInstinct MI350XとMI355X向けHBM3Eでも主要パートナーを務めてきた。同社は2026年2月からHBM4を量産・出荷している。3月18日夜には、Samsung会長のイ・ジェヨン氏がソウルの迎賓館「承志園」でスー氏と会食し、半導体分野での協力について話し合ったと韓国メディアが報じた。
HBM4を巡っては、NVIDIA向けの需要も大きい。聯合ニュースは1月、NVIDIAが2026年の次世代AI製品向けHBM4需要の約70%をSK hynixに割り当てたと、関係者の話として報じた。SamsungのHBM4生産については、ソウル経済新聞が8月、歩留まりが80%に達したと報じている。
AMDは2月、Metaと最大6ギガワット規模のInstinct GPU導入に向けた複数年契約を発表した。初期の導入にはHeliosのアーキテクチャを基盤とする、Meta向けに設計されたGPUを使い、2026年下半期に関連製品の出荷を始める見込みとしている。AMDはMicrosoftによるHelios導入計画や、OpenAI、Oracleなどとの協力も公表している。
■データセンター事業と韓国での活動
AMDの2026年第2四半期決算では、データセンター部門の売上高は前年同期比107%増の67億ドル(1ドル=158円換算で約1兆586億円)だった。全社売上高は過去最高の約115億ドル(同約1兆8170億円)で、データセンター部門が58%を占めた。ジャン・フーCFOは、同部門の売上成長が2026年後半に加速するとの見通しを示した。
スー氏は2025年5月の米上院商務委員会への提出証言で、先端半導体の製造と実装について米国内の強固な供給網を築く必要性を訴えた。2026年には米半導体産業協会の理事会議長を務め、3月には米大統領科学技術諮問委員会の委員に任命されている。同委員会にはNVIDIAのジェンスン・フアンCEOやMetaのマーク・ザッカーバーグ氏も名を連ねる。
今回の訪韓では、メモリ大手との会談に先立ち、韓国のAI企業との交流も行った。韓国科学技術情報通信部によると、10月7日午前、スー氏はソウルで同省のリュ・ジェミョン第2次官と「AI半導体企業ラウンドテーブル」に参加した。韓国メディアは、Rebellions、FuriosaAI、Mobilintなどの企業が出席し、AMDのCPU・GPUと韓国製AI半導体を組み合わせる協力について意見を交わしたと報じている。
SamsungとSK hynixとの協議は、Heliosに必要なメモリを複数世代にわたり確保するための関係づくりの一環となる。AMDのAI向け事業が拡大するにつれ、GPUの設計だけでなく、HBMと先端実装を含む供給網全体の計画が重みを増している。
元記事: Lisa Su Flew to Seoul Twice in Seven Months; AMD’s AI Roadmap Depends on Korea
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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