豪ライナス、メテオリックからブラジルのレアアース事業を約1060億円で取得へ

2026年10月3日 00:23

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記事提供元:Tech Times

オーストラリアのレアアース(希土類)採掘企業ライナス・レア・アース(Lynas Rare Earths)と資源開発企業メテオリック・リソーシズ(Meteoric Resources)は2026年10月1日、ライナスがメテオリックの全株式を取得する拘束力ある契約を結んだと発表した。メテオリックが保有するブラジルのカルデイラ(Caldeira)希土類事業には、磁石材料となるジスプロシウムとテルビウムが含まれる。買収には株主、裁判所、ブラジル当局の承認が必要で、両社は2027年3月までの実施を目指す。

■株式交換による買収案

取引は、メテオリック株1株に対してライナス株0.0207株を交付する株式交換方式で進める。ライナス株の2026年9月30日までの60日間の出来高加重平均価格を使うと、メテオリックの株式価値は完全希薄化ベースで約9億6800万豪ドル(約1060億円)となる。

メテオリック株の評価額は1株当たり約0.286豪ドルで、同社の直近終値0.170豪ドルに対する上乗せ幅は68.4%だ。取引が完了した場合、メテオリックの既存株主は統合後のライナス株式を完全希薄化ベースで約5.9%保有する見込みとなる。

メテオリックの取締役会は、より有利な提案が現れず、独立専門家が株主にとって最善の取引と判断することを条件に、全会一致で賛成を勧めている。メテオリック株の約6.7%を保有するTolga Kumova氏と関連企業も、同じ条件の下で保有株を賛成に投じる意向を示した。

ライナスは買収手続き中の開発費などに充てるため、メテオリックに最大1億1000万豪ドル(約121億円)の暫定融資枠を設ける。最初の3500万豪ドル(約38億4000万円)は契約締結後に利用でき、残額の提供には条件が付く。

両社の予定では、買収説明書を2026年12月に送付し、2027年1月に株主総会で採決する。可決には投票総数の75%以上に加え、投票した株主の人数でも過半数の賛成が必要だ。裁判所の承認とブラジル当局による支配権変更の承認も条件となる。

■Caldeiraの資源量と開発計画

Caldeiraはブラジル・ミナスジェライス州のポソス・デ・カルダス地域にある。両社の発表によると、JORC基準で報告されたイオン吸着型粘土の希土類鉱物資源量としては、中国国外で最大とされる。

メテオリックが2026年7月に公表した確定的実現可能性調査(DFS)では、鉱物資源量を約16億3100万トン、総希土類酸化物の平均品位を2317ppmと推計した。この資源量には、ネオジム・プラセオジム酸化物約80万2000トンと、ジスプロシウム・テルビウム酸化物約4万1000トンが含まれる。

DFSの生産計画は、約23年にわたり混合希土類炭酸塩を製造する想定だ。これを酸化物換算すると年平均約1万2500トンとなり、ネオジム・プラセオジム約3862トン、ジスプロシウム・テルビウム約127トンを含む。いずれも開発計画上の目標値である。

両社の試算では、買収によってライナスの測定・概測鉱物資源量は約79%、鉱石埋蔵量は約26%増える。ライナスはCaldeiraの開発投資を5億米ドル超と見込み、メテオリックのDFSは初期投資を約4億9800万米ドルと見積もっている。

メテオリックは2025年12月に予備環境ライセンスを取得し、建設に必要な設置ライセンスの申請も進めている。同社のパイロットプラントでは、磁石向け希土類の回収率が2026年5月の運転で80%に達したと発表した。

■重希土類を含む粘土鉱床の特徴

ネオジム・鉄・ホウ素磁石は、小型でも強い磁力を得られるため、電気自動車の一部の駆動モーターや風力発電機などに使われる。ジスプロシウムやテルビウムは、高温で磁力が低下しにくい性質を高める材料だ。

イオン吸着型粘土鉱床では、希土類の一部が粘土鉱物の表面に吸着している。産業技術総合研究所によると、硫酸アンモニウムなどの溶液を使い、イオン交換によって希土類を取り出せる。ライナスの豪州マウント・ウェルド鉱山や米国のマウンテンパス鉱山とは、鉱床と処理工程の特徴が異なる。

イオン吸着型粘土は、ジスプロシウムやテルビウムを含む重希土類の供給源として重要だ。ただし、粘土鉱床から得る混合希土類炭酸塩は、各元素を分けた製品ではない。Caldeiraの事業化では、採掘・抽出後の分離工程をどこに設けるかも焦点となる。

■中国の輸出規制と市場の動き

中国は2025年4月4日、商務部・税関総署の公告第18号により、ジスプロシウム、テルビウムなど7種類の中・重希土類に関連する品目を輸出許可の対象に加えた。ロイター通信が2026年5月に報じた中国の税関データでは、ジスプロシウム、テルビウム、イットリウムの輸出量は規制前の12カ月間に比べ約半減していた。

同じロイター通信の報道では、調査会社Argusのデータに基づく中国国外のジスプロシウムとテルビウムの価格は、2025年4月以降に4~5倍となった。完成磁石の価格についても、Benchmark Mineral Intelligenceの担当者は規制前の1.5~3倍になったと説明している。

中国は2025年10月に発表した追加の希土類関連規制について、同年11月から2026年11月10日まで実施を停止している。4月の公告第18号はこの停止措置の対象に含まれず、ジスプロシウムとテルビウムなどの輸出には引き続き許可が必要だ。

■分離拠点はマレーシアかブラジルか

ライナスはマレーシア・クアンタン近郊の処理施設で、2025年にジスプロシウムとテルビウムの酸化物の分離生産を始めた。同社の2026年年次報告書によると、2026年3月にはサマリウム酸化物の初回生産にも成功した。

マレーシアの同施設は、2026年3月3日から10年間の操業ライセンス更新を受けた。ライナスは重希土類分離設備の増強費用について、当初の約1億8000万豪ドルから、2026年年次報告書で予備費込み約2億9400万豪ドルへ見積もりを引き上げている。

ライナスの戦略・投資家関係担当バイスプレジデント、Daniel Havas氏は買収発表時の説明会で、Caldeiraの原料を当初はマレーシアで分離する計画を示した。同時に、ブラジルでの下流工程の整備も検討すると述べ、処理拠点の組み合わせには選択の余地があると説明した。

ブラジル政府は重要鉱物の国内加工を後押ししている。国立開発銀行BNDESと政府系の研究・事業融資機関Finepは2025年、希土類を含む戦略鉱物の加工事業を対象に、計50億レアル規模の支援公募を始めた。

マレーシアでは2026年7月、議会の特別委員会がライナスと米国の防衛分野向け供給の取り決めを審議した。地元紙ニュー・ストレーツ・タイムズによると、委員会は政府に対し、その取り決めに関する見解を示すよう求めた。

■日本向け供給と経営体制

日本では双日とエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が設立した日豪レアアース株式会社(JARE)を通じ、ライナスから希土類を調達している。双日によると、ジスプロシウムとテルビウムの日本への輸入は2025年10月に始まった。

2026年3月に更新されたJAREとの長期供給契約では、ネオジム・プラセオジム酸化物を年5000トン引き取ることを確約し、価格の下限を1kg当たり110米ドルに定めた。ライナスは2038年まで、条件付きで年最大7200トンを日本向けに供給可能とする。同社と双日の発表では、生産する中・重希土類の最大75%も日本向け供給の対象となる。

ライナスは2026年3月、米政府との間で、4年間に約9600万米ドル相当の軽希土類・重希土類酸化物を供給する契約の締結に向け、拘束力ある意向表明書に署名した。ネオジム・プラセオジム酸化物には、日本向け契約と同じ1kg当たり110米ドルの価格下限を設ける方針だ。

ライナスでは、約12年間CEOを務めたAmanda Lacaze氏が2026年6月末に退任し、7月から元最高執行責任者のPol Le Roux氏が暫定CEOを務める。Havas氏はCaldeiraの取得について、豪州のマウント・ウェルド鉱床に加えて原料の選択肢を持つことで、中国国外の顧客への長期供給に柔軟性が生まれると説明した。

元記事: Rare Earth Monopoly Crumbles: Lynas Secures Brazil Deposit to Rival China on Heavy Earths

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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