テレフォニカ、ベネズエラ事業の売却を検討 米制裁と現地規制が焦点
スペインの通信大手テレフォニカが、ベネズエラ子会社Movistar Venezuelaの売却を検討している。ブルームバーグが2026年9月25日、事情に詳しい関係者の話として報じた。売却の決定や正式な買収提案はまだなく、取引が具体化すれば現地の規制手続きと米国の制裁への対応が焦点となる。
■売却開始の時期を見極める
報道によると、テレフォニカは今後12カ月以内のベネズエラ撤退を目指し、複数の買い手による入札を始める時期を見極めている。マイアミを拠点とするLARA Fundの関係者との予備協議もあったが、進展しなかった。同ファンドの共同創業者マウリシオ・クラベールカローネ氏は、ベネズエラでの案件を積極的に追求していないと説明し、テレフォニカはコメントを控えた。
今回の検討は、同社が進めるスペイン語圏中南米事業からの撤退の一環だ。マルク・ムルトラ会長兼CEOは2025年11月、経営計画「Transform & Grow」の発表時にベネズエラからも撤退する方針を示した。計画ではスペイン、ドイツ、英国、ブラジルの4市場に経営資源を集中し、売上高の年平均成長率を2025~2028年に1.5~2.5%、2028~2030年に2.5~3.5%とする目標を掲げている。
テレフォニカはアルゼンチン、ペルー、エクアドル、ウルグアイ、コロンビア、チリの事業を売却した。メキシコ事業については2026年4月7日、OXIOとNewfoundland Capital Managementが率いるMelisa Acquisitionへの売却で合意した。企業価値は4億5000万ドル(約707億円、1ドル=157円換算)で、少なくとも同年6月末時点では規制当局の承認などを条件としていた。
■1000万超の顧客を抱える通信事業
売却の対象となり得るMovistarは、ベネズエラの携帯電話市場で最大手だ。通信事業者団体CASETELが掲載した規制当局CONATELの統計では、2025年末の利用中の携帯回線に占める割合はMovistarが45.18%、Digitelが36.76%、国営CANTV傘下のMovilnetが18.06%だった。Movistarは2026年2月、顧客数が1000万人に達したと発表している。
同事業には通信網への継続投資という課題がある。Movistarは2025年2月、4G網の強化と5G展開のため、向こう2年間で約5億ドル(約785億円)を投じる計画を公表した。同年1月には2.6GHz帯の周波数を取得し、2026年4月には5G対応の稼働基地局が160カ所を超えたと発表した。買い手が決まれば、この投資計画とサービスをどう引き継ぐかが顧客にとって重要になる。
同社の2025年の連結純損失は43億1800万ユーロだった。テレフォニカによると、継続事業の損失20億4900万ユーロには人員再編費用や資産価値の見直しなどが影響し、売却した中南米事業を含む非継続事業の損失は22億6900万ユーロだった。一方、ベネズエラ事業は2025年に7199万ユーロの黒字を計上したとスペイン紙エル・パイスが報じている。
■現地の承認と米国の制裁手続き
ベネズエラで通信事業を譲渡するには、同国の通信規制当局CONATELによる審査が重要になる。米国側では、米財務省外国資産管理局(OFAC)が2026年8月に発行した一般ライセンス62が、ベネズエラの通信分野への新規投資について、交渉と条件付き契約の締結を認めている。対象となる契約の履行にはOFACの別途認可が必要だ。
一般ライセンス62は、テレフォニカの株式売却すべてに米政府の承認を義務づけると定めたものではない。米国の制裁規則が実際の取引にどう適用されるかは、買い手、資金調達、決済方法、取引対象などに左右される。テレフォニカにとっては、現地の承認手続きとともに、取引案ごとの制裁対応を詰める必要がある。
LARA Fundのクラベールカローネ氏は、米政権のベネズエラ政策に非公式に関わっていたとロイターが2026年7月に報じた。同氏は政府の正式な職には就いておらず、同月までにその役割を離れたと説明している。ファンドによる予備的な接触は確認されているが、買収交渉の進展や買い手としての参加が決まったことを意味しない。
■買い手と顧客への影響は未定
買い手の候補として、ベネズエラのDigitelや国営CANTV、域内で事業を広げるMillicomの名前が報じられている。Millicomのマルセロ・ベニテスCEOは2026年4月、ベネズエラとペルーへの買収による進出に関心を示す一方、直ちに実行する計画はないと述べた。いずれの事業者についても、今回の売却で正式な提案や合意が確認されたわけではない。
所有者が変わる場合、投資やサービスの継続に加え、利用者情報の扱いも重要だ。テレフォニカの2021年の透明性報告書では、ベネズエラ当局からの「法的傍受」の要請が86万1004件あり、影響を受けた回線・サービス契約は158万4547件と記録された。同報告書は、この区分で行われた介入を位置情報と加入者データのリアルタイム取得と説明している。
同じ報告書によると、通信に付随するメタデータの提供要請は14万9152件で、影響を受けた回線・サービス契約は99万7679件だった。こうした記録を踏まえると、将来の所有者が利用者情報をどう扱うかも注目点となる。現時点で売却は決まっておらず、顧客の契約や通信サービスが変更されるとの発表もない。
元記事: Telefónica Needs Trump Admin and Caracas Sign-Off to Sell Venezuela’s Last Mobile Giant
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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