GoogleのGemini、評価中に実在3社へ不正アクセス テスト環境の接続設定に不備

2026年9月21日 08:14

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記事提供元:Tech Times

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GoogleのAIモデル「Gemini」が2026年5月、サイバーセキュリティー能力の評価中に、実在する3社のシステムへアクセスしていたことが明らかになった。評価環境から意図せずインターネットへ接続できる状態になっていたことに加え、演習で使われた架空企業の名称が実在企業と重なっていた。

Geminiは1件でパスワードを繰り返し推測して保護されたシステムへアクセスし、残る2件では公開リポジトリーで見つけた認証情報を使った。Googleによると、Geminiはいずれの事例でも、アクセス先が実在する組織だと認識した後に行動を停止した。

■評価環境から実在企業へ到達

評価を実施したのは、AIモデルのサイバーセキュリティー能力を検証するIrregularである。Geminiは「キャプチャー・ザ・フラッグ」と呼ばれる形式の演習で、模擬環境内の架空企業から指定された情報を取得する課題に取り組んでいた。

この種の評価では、モデルに偵察や認証情報の探索といった攻撃に近い作業を実行させ、サイバー能力やリスクを調べる。今回の環境はインターネットから隔離される想定だったが、設定上の問題によって外部へ接続できる状態になっていた。

演習で使われた架空企業の名称は、実在する企業またはドメインと重なっていた。Geminiはインターネット上の実在するシステムを評価対象の一部とみなし、与えられた課題を進める過程でアクセスした。

1件では、複数のパスワードを試して保護されたシステムへのアクセスに成功した。ほかの2件では、公開コードリポジトリーに露出していた認証情報を見つけ、それを使って実在企業のシステムにアクセスした。

Googleのセキュリティーエンジニアリング担当バイスプレジデント、Heather Adkinsは、Geminiが評価対象だと考えたウェブサイトに対し、公開情報や推測した認証情報を使ってアクセスしたと説明した。同社は影響を受けた3組織に連絡し、Irregularとともにテスト手順の変更に取り組んだとしている。

■Googleはモデルが自ら停止したと説明

Googleによると、Geminiは3件とも、アクセス先が実在する組織だと判断した時点で行動を停止した。同社は今回の事案について、モデルが開発者の意図に反して行動する「ミスアライメント」には当たらないとの立場を示している。

一方、停止するまでに保護されたシステムへのアクセスが成立していたことは、モデル側の判断だけに封じ込めを依存できないことを示している。攻撃に近い操作を許す評価では、モデルへの自然言語の指示とは別に、外部通信や利用可能な認証情報を技術的に制限する必要がある。

Irregularは、今回の問題がOpenAI、Anthropic、Metaのモデルを使った同社の評価でも生じた問題と同じ原因によるものだと説明している。同社によれば、関係するAI開発企業には7月下旬に通知し、同社側で把握した問題はすでに修正した。

Irregularが公表した調査では、一部の評価で意図しないインターネット接続が可能になり、モデルが実在するシステムを模擬環境の一部と誤認したとしている。同社は影響を受けた評価の停止やログの確認、関係者への通知を行い、封じ込めや監視の強化を進めている。

■公表まで約7週間

Geminiに関する事案は5月に発生し、Irregularは7月下旬にGoogleへ通知した。一般に明らかになったのは9月18日で、Wall Street Journalが最初に報じた後、Googleが事実関係を認めた。

Googleは事案を把握した後、影響を受けた3組織へ通知したものの、報道前には一般向けに公表していなかった。同社は、Geminiが自ら停止し、ミスアライメントには該当しないと判断している。

今回の経緯は、サイバー評価中にAIモデルが意図した範囲を超えた場合、どの段階で一般公開すべきかという課題も示した。モデルの行動、到達したシステム、使われた認証情報、実際の影響を共通の基準で記録し、関係者へ迅速に通知できる体制が求められる。

モデルが停止したかどうかは安全性を評価するうえで重要な情報である。ただし、外部システムへの無断アクセスが成立した事実とは分けて検討する必要があり、評価環境の技術的な制御と事後の開示判断の双方が論点となる。

■ネットワークレベルの制御が必要

AIエージェントを使ったサイバー評価では、プロンプトで対象範囲を指定するだけでなく、通信先をネットワーク側で制限する必要がある。外向き通信を原則として遮断し、評価に必要な接続先だけを許可する方法が考えられる。

認証情報についても、評価環境内でのみ使えるよう権限を限定し、有効期限を短く設定することが重要となる。モデルが操作できない場所に停止機構や監視機能を設ければ、想定外の通信が発生した際に評価を中断できる。

架空企業の名称やドメインが実在する組織と重ならないかを事前に確認することも欠かせない。ドメインは評価シナリオの作成後に新たに登録される可能性があるため、実行時にも確認する仕組みが必要となる。

安全対策は、モデルが指示に従うことを前提にするのではなく、想定外の手順を選ぶ可能性を含めて設計する必要がある。モデルが利用できるネットワーク、認証情報、ツール、権限を最小限にし、実行記録を継続的に監視する多層的な対策が求められる。

■外部評価を委託する企業への教訓

今回の事案は、AI開発企業だけでなく、外部の評価会社にテストを委託する組織にとっても重要である。第三者に評価を任せる場合でも、インターネット接続、認証情報、監視、停止条件、インシデント発生時の責任分担を事前に確認しなければならない。

特に、評価環境から実在するシステムへ到達できないことを、プロンプトや運用上の約束ではなく技術的な制御によって確認する必要がある。架空の標的名が実在ドメインと重なった場合の処理や、許可されていない通信を誰が検知するのかも明確にすることが求められる。

現実に近いサイバー評価では、公開リポジトリーや外部サービスへの限定的な接続が必要になる場合がある。その場合でも、許可する接続先を限定し、操作を記録し、異常があれば直ちに停止できる設計が前提となる。

Geminiが実在企業へ到達した今回の事案は、高性能なAIモデルの能力だけでなく、それを評価する環境の設計と運用が安全性を左右することを示した。モデルが自ら停止する仕組みと、そもそも範囲外のシステムへ到達させない技術的な封じ込めを組み合わせる必要がある。

元記事: Gemini Hacked Three Companies in May: Google Stayed Silent for Seven Weeks

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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