Impulse Space、Mira同士を200m未満まで接近 自社GNCによる軌道上機動を実証

2026年9月11日 23:22

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記事提供元:Tech Times

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Impulse Spaceは、低軌道を飛行する2機の軌道間輸送機「Mira」を200m未満まで接近させる飛行試験を実施した。接近機動には自社開発の誘導・航法・制御(GNC)技術を使用し、将来のランデブー・近接運用に向けた機体の機動性と相対航法能力を確認したとしている。

■2機のMiraが200m未満まで接近

今回の試験には、2025年1月に打ち上げられたLEO Express 2のMiraと、同年11月に打ち上げられたLEO Express 3のMiraが使われた。LEO Express 2の機体が2026年2月から軌道調整を始め、春から夏にかけて追加の噴射を行ってLEO Express 3との軌道をそろえた。

7月には約820mから段階的な接近を開始し、最終的に両機の距離を200m未満まで縮めた。接近中には、搭載カメラなどを使って互いの機体を撮影することにも成功した。

Impulse Spaceによると、一連の機動では同社が開発したGNCソフトウェア、軌道決定技術、相対航法センサーを使用した。近接時に必要となる航法計算とスラスター制御を機上で処理することで、地上管制からの逐次的な指令に依存しない運用を実施したという。

同社のトム・ミュラー最高経営責任者は、こうした動的で機敏な機動によって、打ち上げ後の宇宙空間へのアクセスを広げ、新たな任務の可能性を生み出せるとの考えを示している。

■Starfish SpaceとのRemoraから接近距離を短縮

Impulse Spaceは2025年12月、Starfish Spaceと共同で「Remora」と呼ばれる自律ランデブー・近接運用の成果を発表している。この試験では、LEO Express 2のMiraがLEO Express 1のMiraに約1250mまで接近した。

Remoraでは、Starfish Spaceのコンピュータービジョンソフトウェア「CETACEAN」とGNCソフトウェア「CEPHALOPOD」が、LEO Express 2に搭載された専用コンピュータ上で動作した。カメラ画像から相対位置を推定し、その結果を基にMiraの飛行経路を計算してスラスターを制御する閉ループ運用だった。

今回の試験では、Impulse Spaceが開発したGNC技術を中心に2機の接近機動を実施した。Remoraの約1250mから200m未満へ接近距離を縮めたことに加え、自社の航法・制御系による近接運用の適用範囲を広げた点が成果となる。

■近接運用で重要になる相対航法と機上制御

軌道上のランデブーでは、単純に対象へ向かって加速するのではなく、噴射によって軌道の高度や周期を変え、時間をかけて相対的な位置関係を調整する。対象に近づくほど位置や速度の小さな誤差が接近経路に与える影響も大きくなるため、相手との距離や方向、相対速度を継続的に推定する相対航法が重要になる。

近距離では、センサーから得た情報を処理し、必要な軌道修正を計算してスラスターへ指令するまでの一連の処理を迅速に繰り返す必要がある。今回の試験は、Impulse SpaceのMiraがこうした情報処理の流れを機上で実行しながら、別の宇宙機に段階的に接近できることを示した。

この能力は、対象物の観測や点検、宇宙領域把握、将来の軌道上サービスなど、対象との相対的な位置関係を精密に管理する任務へつながる基盤技術となる。

■改良型Miraが近接運用を支える

LEO Express 3は、Impulse Spaceが設計を刷新したMiraの初飛行となった。改良型には自社製リアクションホイール4基、耐放射線性を高めたアビオニクス、通信機器、展開・追尾式の太陽電池パネルなどが採用されている。

リアクションホイールは、推進剤を使わずに宇宙機の姿勢を細かく調整する装置である。スラスターによる軌道変更と機体の姿勢制御を組み合わせる近接運用では、センサーや搭載機器を対象へ向け続けるための精密な姿勢制御が重要になる。

主推進系にはSaiph化学スラスター8基を搭載する。現行仕様では1基当たりの推力は6重量ポンド、約26Nで、合計推力は約208Nとなる。100kgのペイロードを搭載した場合、最大850m毎秒のデルタVを提供するとされている。

LEO Express 3では、リアクションホイールを使った姿勢制御や、蓄積した角運動量をスラスターで解消するモーメンタム・デサチュレーションなど、改良されたサブシステムの軌道上運用も進められてきた。

■GEOでの近接運用計画にもつながる技術

Impulse SpaceとAnduril Industriesは、静止軌道で高精度のランデブー・近接運用を実証する共同ミッションを計画している。Impulse Spaceのキックステージ「Helios」でMiraを低軌道から静止軌道へ輸送し、MiraにAndurilのミッションデータプロセッサーや長波長赤外線イメージャーなどを搭載する構想だ。

静止軌道では、指定された宇宙物体を複数の方向から撮影し、画像の取得や解析、自律的な接近機動に必要なハードウェアとソフトウェアを検証する。Andurilのミッションデータプロセッサーには同社のLatticeと近接運用用ソフトウェアを搭載し、画像処理や自律的な任務管理に利用する計画である。

今回の低軌道試験と静止軌道ミッションでは、搭載センサーや任務用ソフトウェア、運用環境が同一とは限らない。一方、対象との相対位置を把握し、機上で判断しながら精密な機動を実行するという情報処理の構造は共通しており、200m未満の接近実績は今後のより高度な任務を進めるうえで重要な飛行経験となる。

■米宇宙軍向けにはVICTUS SALOを展開

Impulse Spaceは、米宇宙軍宇宙システム軍団のSpace Safari Officeから、VICTUS SURGOとVICTUS SALOを支援する3450万ドルのSBIRフェーズIII契約を2024年に受注した。

VICTUS SURGOでは、Heliosを使って低軌道から静止トランスファー軌道へMiraを輸送し、軌道上に事前配置した機動性の高い宇宙機を宇宙領域把握に活用する。VICTUS SALOでは、政府が提供するペイロードを搭載したMiraを低軌道で運用する。

さらに同社は2026年8月、VICTUS SALO 2とVICTUS SALO 3を支援する2800万ドルの契約拡張を発表した。2機のMiraが政府提供のペイロードを搭載し、低軌道で戦術的即応性を備えた機動任務に使用される計画である。先行するVICTUS SALO 1は2027年の打ち上げが予定されている。

■輸送と近接運用を兼ねる汎用機

Miraは、特定の衛星へのドッキングや寿命延長だけを目的とした専用サービス機ではない。ペイロードの搭載、目的軌道への輸送、小型衛星の放出、軌道変更、ランデブー・近接運用などを一つの機体で担う汎用的な軌道間輸送機として設計されている。

今回の試験では、2機のMiraを長期間かけて軌道上で接近させ、200m未満の距離で相対航法と機動制御を実行した。この実績により、Miraを単なるペイロード輸送手段ではなく、対象物の観測や宇宙領域把握などを含む機動性の高い任務へ展開するための技術的な足場が整った。

Impulse SpaceはMiraで3回の軌道ミッションを実施している。2026年6月には5億ドルのシリーズD資金調達を発表し、累計調達額は10億ドルを超えた。今回の近接飛行で得た運用経験を、今後のMiraやHelios、静止軌道での近接運用、米宇宙軍向け任務へ反映していくことになる。

元記事: Impulse Space Proves In-House Navigation at 200 Meters, Ending Need for Software Partner

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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