Visaのステーブルコイン決済が年換算200億ドル超、オンチェーン融資でカード事業者の資金繰り支援

2026年9月10日 00:51

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記事提供元:Tech Times

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Visaは、ステーブルコイン連動カードを運営する事業者向けに、VisaNetの決済データとオンチェーン融資を組み合わせた運転資金供給の取り組みを発表した。カードプログラムが日々の決済資金を確保しやすくするもので、Credit Coopのスマートコントラクトを利用して資金供給や返済を自動化する。

Visaによると、同社ネットワークでは160超のステーブルコイン連動カードプログラムが稼働しており、これらの決済取扱高は前年同期比で約200%増加した。Visaのステーブルコイン決済額も、直近で年換算200億ドルを超え、前年の15倍以上になったという。

■カード事業者が抱える日々の資金需要

カードプログラムは、カード利用者から資金を回収する前に、Visaの決済システムを通じた支払いに必要な資金を用意しなければならない。大規模な事業者は倉庫型融資や証券化などを利用できるが、新しいプログラムでは必要な融資額が比較的小さく、十分な運用実績もないため、従来型の資金調達手段を利用しにくい場合がある。

ステーブルコイン連動カードの一部は、銀行の営業時間にかかわらず、週末や祝日を含めて決済に対応する。こうした事業者には、カード利用の拡大に合わせ、日々の決済債務を継続的に賄える運転資金が必要になる。

Visaは、初期段階のプログラムが直面する制約について、需要や決済ネットワークではなく、実際の運用形態に合った運転資金を確保できないことが成長の妨げになり得ると説明している。

■Credit Coopのスマートコントラクトで返済を自動化

Visaが示した取り組みでは、Credit Coopがステーブルコイン建てのリボルビング融資枠をカードプログラムに提供する。融資は決済債権を担保とし、Visaから提供される日次決済データとオンチェーンの取引記録を使って運用状況を確認する。

中核となるのが、Credit Coopの「Spigot」と呼ばれるスマートコントラクトである。カード利用者からの返済資金は、借り手の事業用口座に送られる前にSpigotを通過する。Spigotは受け取った資金から融資の元本と利息を貸し手へ自動的に振り分け、残額をカードプログラムへ送る。

この仕組みは、従来の資産担保融資で使われるロックボックス型の口座管理に相当する処理を、スマートコントラクトによって実行するものだ。手作業による口座間の資金移動や返済処理を減らし、比較的小規模な融資枠でも運用しやすくする狙いがある。

Credit Coopは、参加するカードプログラムの承認を得たうえで、Visaから日次決済ファイルを直接受け取る。融資枠の設定、資金供給、返済状況の確認には、借り手の自己申告ではなく、Visaの決済記録とオンチェーンの取引記録が使われる。

Visaによると、貸し手はこの情報を基に融資エクスポージャーを調整できる。貸し手の参加拡大に伴い、参加プログラムの借入コストは最大30%低下したという。ただし、個別の金利や、コスト低下が適用された事業者の詳細は公表されていない。

■累計25億ドル超を融資、公開可能な取引履歴を形成

Credit Coopの仕組みでは、2023年以降、累計25億ドルを超える決済資金が供給された。Visaの発表時点までに、オンチェーンで3000件超の借入と9000件超の返済が処理され、参加する融資枠ではデフォルトは報告されていない。

各借入と返済はブロックチェーン上の取引として記録される。Visaの決済データと組み合わせることで、貸し手は、カードプログラムがどの程度の決済債務を負い、融資をどのように返済してきたかを継続的に確認できる。

Visaは代表例として、同社のプリンシパルメンバーであるRainを挙げている。Rainは2023年8月からCredit Coopのリボルビング融資枠を使い、日々のVisa決済債務を賄ってきた。

Rainが決済資金を必要とすると、Credit Coopの融資枠から資金が供給される。カード利用者からの返済資金はRainのスマートコントラクトを通じてSpigotに送られ、利息の支払いと融資枠の補充に使われる。

Rain向けの融資枠では、約20億ドルの累計決済額に対して、2000件超の借入と7000件超の返済がオンチェーンで処理された。Visaによると、この融資枠が対象とした決済債務はすべて期限どおりに資金供給され、支払いの不履行はなかった。

■オンチェーンの履歴を与信判断に活用

日々の借入と返済の履歴は、その後により大規模な資金を調達する際の与信判断材料にもなり得る。Visaはその事例として、Rainの銀行識別番号の下で運営される米国発行のプレミアムVisaカード「Karta」を紹介している。

Kartaは立ち上げ時からCredit Coopの融資を利用し、同じSpigotの仕組みを通じて34件の借入と95件の返済を記録した。2025年に事業規模が10倍となり、2026年第1四半期には決済取扱高が前四半期比で4倍に増加したという。

Kartaは2026年6月、Galaxy Venturesが主導する1500万ドルのシリーズAと、Community Investment Managementによる1億2500万ドルの機関向け信用枠を合わせ、総額1億4000万ドルの資金調達を発表した。

オンチェーンの履歴だけで融資判断が決まるわけではないが、Visaの決済記録と照合可能な借入・返済実績は、カードプログラムの運用状況を示す追加の判断材料になる。新しいプログラムが実績を積み、その後に従来型の大規模な融資へ移行するための信用記録として活用できる可能性がある。

■必要額を当日に供給する仕組みも構想

Visaが紹介した次の段階では、日次決済データに基づくジャストインタイムの資金供給を想定している。Credit Coopが日次決済ファイルを受け取ると、システムが正味の支払額を読み取り、その金額に対応する資金を同日中にVisaの決済先へ送る仕組みである。

カードプログラムが融資枠から事前に資金を引き出して保有する方式と比べ、実際に決済へ充てる時間だけ資金を利用できる。Visaによると、資金の利用期間は日単位ではなく時間単位となる。

貸し手側でも、融資枠の全額ではなく日々の決済額に応じて資金を供給できれば、同じ資本を複数のカードプログラムに振り向けやすくなる。決済データとスマートコントラクトを連携させることで、決済額の変化に合わせた資金供給を自動化する構想だ。

■ステーブルコイン決済は年換算200億ドル超へ

Visaのステーブルコイン決済は、2026年4月時点で9つのブロックチェーンに対応し、年換算70億ドルの規模に達していた。同年9月の発表では年換算200億ドルを超え、前年同期比では15倍以上となった。

一方、今回紹介されたCredit Coopの融資基盤は、この決済額全体を処理している仕組みではない。Visaのステーブルコイン決済事業の拡大と並行して、ステーブルコイン連動カード事業者が必要とする運転資金を供給する取り組みの一つである。

Visaは、決済データとオンチェーンの取引記録を組み合わせることで、資金供給の自動化と与信判断の透明性向上につなげようとしている。160超のカードプログラムが稼働するなか、カード利用の拡大を支える裏側の資金調達基盤も整備が進みつつある。

元記事: Visa Stablecoin Settlement Hits $20B: Smart Contract Replaces Bank Lockboxes for 160 Programs

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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