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ファーウェイ、「Kirin 9050 Pro」初搭載の新型3つ折りスマホ「Mate XT 2」を中国で発表

(Huawei.com)[写真拡大]
ファーウェイ(Huawei)は2026年9月7日、中国・広州で3つ折りスマートフォン「HUAWEI Mate XT 2 | ULTIMATE DESIGN」を発表した。同端末には、3次元方向の回路配置によって信号経路の短縮を図る「LogicFolding」を採用した新型プロセッサ「Kirin 9050 Pro」が初めて搭載される。
Huaweiは端末全体の性能が前世代比で42%向上したとしている。ただし、Kirin 9050 Proの詳細な製造プロセスやトランジスタ密度は公表しておらず、発表された性能値もHuaweiによる測定結果である。実際の処理性能や電力効率、熱負荷が続く状況での持続性能については、発売後の第三者検証が待たれる。
■微細化とは異なる方向から性能向上を目指す
LogicFoldingは、回路や配線を平面的に配置するだけでなく、垂直方向にも近接して配置することで、信号が移動する距離を短縮する設計思想である。Huaweiは、抵抗や寄生容量によって生じる遅延を抑え、性能、エネルギー効率、トランジスタ密度を高められるとしている。
Huaweiはこの考え方を「Tau Scaling Law」と呼んでいる。Tauは信号伝搬に関係する時定数を表し、トランジスタの寸法だけで半導体の進歩を捉えるのではなく、回路やチップ、システム内で信号やデータが移動する時間を短くすることを重視する。
同社の半導体部門を率いるHe Tingboは、2026年5月に上海で開催されたIEEE International Symposium on Circuits and SystemsでTau Scaling Lawを発表した。この講演では、LogicFoldingによってクリティカルパスの配線を短縮し、信号伝搬時の抵抗性・容量性負荷を減らす構想が示された。
Huaweiは2031年までに、Tau Scaling Lawに基づくハイエンドチップで1.4nmプロセス相当のトランジスタ密度を目指すとしている。ここでいう「相当」は製造プロセスの世代を示すものではなく、回路配置や積層などを通じて得られる密度を比較した表現である。
■Kirin 9050 ProをMate XT 2に初搭載
Kirin 9050 Proは、新しいLinxiCore CPU、Maleoon GPU、Da VinciアーキテクチャのNPUを備える。
CPUは9コア構成で、Huaweiによると、シングルコア性能は前世代比で24%、マルチコア並列性能は52%向上した。ハードウェア、ソフトウェア、チップ、クラウドの連携を含む端末全体では、従来機より42%性能が向上したとしている。これらの割合は競合チップとの比較ではなく、Huaweiの前世代製品を基準とした同社測定値である。
Maleoon GPUは演算ユニットとキャッシュを増やし、50MRPSのハードウェアリアルタイムレイトレーシングに対応する。Huaweiは描画性能が前世代比で142%向上したとしている。
Da Vinci NPUは、総パラメータ数300億、処理時に20億パラメータを有効化する「Pangu 30B-A2B」Mixture-of-Expertsモデルの端末内実行に対応する。Mixture-of-Expertsは、入力に応じてモデルの一部だけを動作させることで、計算量を抑えながら大規模なモデルを利用する方式である。Mate XT 2では、端末内AIを使った写真管理などに活用される。
通信面では、Tiantong衛星通信とBeiDou衛星メッセージングに対応する。セキュリティ機能として、モバイルセキュリティプロセッサと独立したセキュリティチップを組み合わせ、耐量子暗号アルゴリズムの検出機能を備える。中国のCCRCによるEAL5+認証も取得したとしている。
■性能と熱設計は発売後の検証が焦点
垂直方向に回路を近接させる設計は、信号経路を短くできる一方で、発熱をどのように制御するかが重要になる。Huaweiが2026年9月3日に公開したプレプリントでは、データ移動に伴う消費電力を減らすことが、積層構造における熱対策にもつながるとの測定結果が示された。
同論文はHuawei側の測定に基づくプレプリントであり、査読を経た独立研究ではない。LogicFoldingによる性能や消費電力の改善幅を評価するには、実際の製品を用いた継続負荷試験や消費電力測定、チップの分解分析などが必要になる。
HuaweiはKirin 9050 Proの製造プロセスについて詳細を明らかにしていない。発表時点では、238MTr/mm²といった具体的なトランジスタ密度や、SMICの特定プロセスを採用したことを裏付ける公式情報も確認できない。このため、LogicFoldingが微細化の差をどの程度補えるかや、先端プロセスの競合チップと性能、電力効率、量産性の面でどこまで競争できるかは、現段階では判断できない。
■中国市場で存在感を高めるHuawei
IDCの暫定集計によると、2026年第2四半期の中国スマートフォン市場におけるHuaweiの出荷シェアは22.6%で首位だった。前年同期の18.1%から上昇し、出荷台数も前年同期比19.4%増加した。Appleは18.1%で2位、OPPOとvivoがそれぞれ16.0%で続いた。
中国市場全体の出荷台数は約6600万台で、前年同期比4.3%減少した。市場が縮小するなかでHuaweiとAppleは出荷を伸ばしており、新型端末と独自プロセッサはHuaweiが中国の高価格帯市場で競争を続けるうえで重要な要素となる。
Kirin 9050 Proを初搭載するMate XT 2は、両側から内側へ折りたたむ構造を採用する。折りたたんだ状態では6.5インチの外側画面を使用し、完全に開くと10.2インチの大画面になる。OSにはHarmonyOS 7を搭載し、最大3つのウィンドウを並べるマルチタスク機能などを備える。
端末は中国で9月12日午前10時8分から販売され、価格は1万9999人民元からとなる。報道時の換算では約2980ドルで、1ドル154円として換算すると約45万9000円に相当する。日本での発売や価格について、Huaweiから正式な発表は確認されていない。
■LogicFoldingの評価には第三者による測定が必要
Kirin 9050 Proの製品化により、LogicFoldingは研究構想から実際のスマートフォン向けプロセッサへ進んだ。信号やデータの移動距離を短くするという基本的な発想は、配線遅延とデータ移動時の消費電力が重要になっている半導体設計の課題に対応するものだ。
一方、Huaweiが公表した性能向上率だけでは、LogicFolding単独の効果を切り分けることはできない。端末の性能はCPUやGPUだけでなく、メモリー、ストレージ、OS、スケジューラー、冷却機構、消費電力の制御方針にも左右される。
今後の焦点は、市販端末を使った第三者のベンチマークや消費電力測定、長時間負荷時の性能、チップの構造分析である。これらの結果により、LogicFoldingがHuaweiのモバイルプロセッサに継続的に採用できる技術となるのか、その実力が明らかになっていく。
元記事: Huawei Kirin 9050 Pro Launches: LogicFolding Moves From Roadmap to Silicon
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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