インド初の地球同期軌道撮像衛星「EOS-05」、所定の遷移軌道へ投入

2026年9月7日 12:41

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記事提供元:Tech Times

インド宇宙研究機関(ISRO)は9月4日、地球観測衛星EOS-05を搭載したGSLV-F17ロケットの打ち上げに成功した。衛星は所定の準地球同期トランスファー軌道に投入され、最終的な地球同期軌道へ向けた軌道上昇を開始している。運用開始後は、インドと周辺地域を可視光、赤外線、マルチスペクトル、ハイパースペクトルの各方式で高頻度に観測する計画である。

■インド初の地球同期軌道撮像衛星

GSLV-F17は9月4日午前2時55分(インド標準時、日本時間同日午前6時25分)、インド・スリハリコタのサティシュ・ダワン宇宙センター第2発射台から打ち上げられた。約19分後、質量約2367kgのEOS-05を所定の軌道へ投入した。

ISROによると、衛星分離後に太陽電池パネルが展開され、衛星の状態も正常であることが確認された。GSLVにとって19回目の飛行であり、EOS-05は同型ロケットが軌道へ運んだ衛星として過去最大の質量となった。

EOS-05は「GISAT-1A」とも呼ばれる地球観測衛星で、地球の自転周期に合わせて周回する地球同期軌道から広い地域を繰り返し撮像する。ISROは、同衛星を地球同期軌道から撮像するインド初の衛星と位置付けている。

一般的な低軌道の地球観測衛星は、地表から数百kmの高度を周回し、同じ地域を観測できる時間が限られる。約3万6000kmの地球同期軌道では同じ地域を長時間視野に収められるため、時間とともに変化する現象を高い頻度で追跡できる。

■多数の波長帯で地表の特徴を捉える

EOS-05は、可視光と赤外線の複数の波長帯を利用する撮像装置を搭載する。ハイパースペクトル観測は、入射光を多数の狭い波長帯に分け、それぞれの波長における反射や放射の違いを測定する手法である。

地表の植生、土壌、水域、岩石などは、波長によって異なる反射特性を示す。このため、多数の波長帯を組み合わせることで、通常のカラー画像だけでは捉えにくい地表の状態や変化を分析する手掛かりが得られる。

EOS-05の系列について公表されてきた仕様では、可視・近赤外域を158波長帯、短波長赤外域を256波長帯で観測するハイパースペクトル撮像装置に加え、6波長帯のマルチスペクトル撮像装置を備える。地上分解能は観測方式によって異なり、マルチスペクトル観測で42m、可視・近赤外のハイパースペクトル観測で318m、短波長赤外で191mとされている。

こうした分光データは、農作物や森林の状態、土壌や鉱物の特徴、沿岸水域、火災などを広域に分析する用途が想定される。ただし、観測結果から物質や状態を判別するには、地上で得られたデータとの照合や、用途ごとの解析が必要になる。

■インド全域を30分ごとに観測

EOS-05は、雲のない条件下でインド全域を約30分ごとに撮像し、指定した地域については約5分間隔で観測できるよう設計されている。広域を定期的に撮像する機能と、特定地域へ観測を集中させる機能を組み合わせる。

高頻度観測は、洪水、森林火災、沿岸部の変化など、数十分から数時間の間に状況が変わる現象の把握に適している。農業や森林管理でも、広い地域の変化を継続して追跡するためのデータを提供できる。

EOS-05の可視光、近赤外、短波長赤外による観測は、地表や雲から届く光を測定する。このため、厚い雲に覆われた地表を直接撮像する用途には適さない。雲や雨の影響を受けにくい合成開口レーダー衛星とは役割が異なり、晴天時に得られる多波長の情報を高頻度で提供することが特徴となる。

■最終軌道へ向けた上昇を開始

GSLV-F17がEOS-05を直接、最終的な地球同期軌道へ投入したわけではない。ロケットは衛星を、地球に近い近地点と遠い遠地点を持つ楕円形の準地球同期トランスファー軌道へ投入した。

打ち上げ前に示された基準軌道は、近地点高度170km、遠地点高度2万8934km、軌道傾斜角19.28度だった。衛星はその後、搭載エンジンを使って軌道を段階的に変更し、高度約3万6000kmの地球同期軌道を目指す。

ISROは9月5日、EOS-05の液体アポジエンジンを5406.4秒間燃焼させる最初の軌道変更に成功したと発表した。変更後の推定軌道は2万km×3万1129kmで、今後も軌道変更を重ね、東経85.5度の軌道位置へ投入する計画である。

最終軌道への移行後には、衛星本体と観測装置の点検、校正などの初期運用が行われる。所定の性能が確認された後、地球観測データの提供に移る見通しである。

■2021年に失われたEOS-03の後継

EOS-05は、2021年8月に打ち上げられたものの軌道投入に失敗したEOS-03(GISAT-1)の後継に当たる。EOS-03も地球同期軌道からインド周辺を高頻度で観測する計画だった。

EOS-03を搭載したGSLV-F10では、第1段、第2段まで正常に飛行したが、極低温上段で異常が発生した。ISROの調査委員会は、液体水素タンクのベント・リリーフバルブからの漏れによってタンク圧力が低下し、エンジンへ十分な液体水素を供給できなかったことが、最も可能性の高い原因だと結論付けた。

今回のGSLV-F17は、固体推進剤を使用する中央部と4基の液体燃料補助エンジン、液体推進剤の第2段、液体水素と液体酸素を使用する国産の極低温上段で構成された。EOS-05を所定の遷移軌道へ投入したことで、2021年に実現できなかった地球同期軌道からの継続的な地球撮像に向けて再び前進した。

■2回連続で失敗したPSLVからの再始動

今回の打ち上げは、ISROがPSLVによる2回連続の軌道投入失敗を経験した後、初めて成功した軌道打ち上げでもある。

2025年5月のPSLV-C61ミッションでは、第3段の燃焼室圧力が低下し、地球観測衛星EOS-09を予定軌道へ投入できなかった。続く2026年1月12日のPSLV-C62ミッションでも、第3段の作動終盤に異常が発生した。

PSLV-C62についてISROは、第3段の終盤に機体のロール方向の動きが乱れ、その後、飛行経路からの逸脱が確認されたとしている。搭載されていた主衛星EOS-N1と15基の相乗り衛星は予定軌道へ投入されなかった。ISROは原因を調べる専門委員会を設置し、詳細な分析を続けている。

GSLVとPSLVは異なるロケットであり、今回の成功がPSLVの問題解決を直接示すものではない。一方、EOS-05の軌道投入によって、ISROは約8カ月ぶりに軌道打ち上げを成功させた。

■静止軌道の気象衛星とは異なる観測目的

静止軌道では、米国のGOES、日本のひまわり、欧州のMeteosatなどの気象衛星が運用されている。これらは複数の可視・赤外波長帯で雲、海面、地表などを高頻度に観測し、気象監視や予報に利用されている。

欧州気象衛星開発機構のMTG-S1は2025年7月に打ち上げられ、約2000の赤外波長を測定するハイパースペクトル赤外サウンダーを搭載している。この装置は主に、大気中の温度、湿度、微量気体の鉛直分布を調べるためのものである。

EOS-05は、広い範囲を繰り返し撮像しながら、可視・近赤外および短波長赤外域で地表の分光情報を取得する点に特徴がある。低軌道衛星のような1m未満の高い空間分解能ではなく、広域性、多波長性、観測頻度を組み合わせて地表の変化を捉えることが主眼となる。

EOS-05が計画通り東経85.5度の地球同期軌道へ移行し、観測装置の初期運用を完了すれば、インドは広い国土と周辺海域を高頻度に観測する新たな手段を得ることになる。

元記事: ISRO EOS-05 Places First Hyperspectral Earth Surface Imager in Geostationary Orbit

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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