AI買い物支援「Phia」に不適切な成果計上の疑い、共同創業者は数カ月前から把握か

2026年8月20日 17:09

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記事提供元:Tech Times

AIを活用した買い物支援サービス「Phia」のブラウザ拡張機能が、利用者による明確な操作がない場合にもアフィリエイト用の追跡情報を付与し、購入への貢献が確認できない取引から報酬を得ていた疑いが浮上した。Bloombergは社内のSlackメッセージや関係者への取材を基に、共同創業者のフィービー・ゲイツ氏とソフィア・キアニ氏が、同社の当初説明より数カ月前から関連機能を認識していたと報じている。

Phiaは一部の報道内容や影響額の算定方法に異議を唱える一方、誤った成果帰属を生じさせた機能を削除し、該当取引の確認と提携先への取り消し処理を始めたと説明している。2026年8月19日の記事公開時点で、両共同創業者が刑事訴追された事実は確認されていない。

■社内記録と「24時間以内に把握」とする説明

Bloombergが2026年8月11日に報じた調査によると、ゲイツ氏とキアニ氏は、Phiaのブラウザ拡張機能が購入に寄与していない取引にもアフィリエイト成果を計上する挙動を、2025年12月には認識していたとされる。

PhiaはBloombergから最初に取材を受けた後の2026年7月8日、問題を「直近24時間以内に把握した」と説明し、チームが一晩で原因を特定して対処したとしていた。問題の挙動についてはコーディング上の誤りだったとの見解を示している。

一方、Bloombergが確認した社内ダッシュボードには「enable coupon auto drop」と呼ばれる機能があり、2025年12月10日から2026年7月7日まで有効になっていたと報じられた。同機能は遠隔でオンとオフを切り替えられる設計だったという。

2025年12月18日の社内メッセージでは、ゲイツ氏が自動的なクッキー付与の挙動を問題視する文言を記す一方、全小売サイトで機能が動作し、商品取扱高を収益化できているかを確認していたとされる。別のやり取りでは、エンジニアがコンプライアンス上の懸念を示した後も、キアニ氏がクッキーを付与する機能の維持を求めたとBloombergは報じている。

こうした記録は、共同創業者が問題をいつ、どのような認識で把握したのかという点で、同社が7月に示した説明との食い違いを浮かび上がらせている。Phiaが8月の報道後に示した声明は、取引の見直しやコンプライアンス責任者の採用には言及したが、報じられたSlackメッセージの内容には直接回答していない。

■利用者の操作がなくても成果を計上する仕組み

Phiaは、ChromeおよびSafari向けブラウザ拡張機能などを通じ、オンラインショッピング時の価格比較や割引情報の検索を支援するサービスだ。利用者がPhiaを介して商品を購入した場合、販売への貢献を識別するためのアフィリエイト用追跡情報が付与され、Phiaが販売事業者から報酬を受け取る。

Bloombergの調査では、利用者がPhiaの提案を使っていない場合にも追跡情報が付与される、少なくとも3種類の仕組みが確認されたという。

「enable coupon auto drop」と呼ばれる機能は、購入手続き中にバックグラウンドでタブを開き、Phiaのアフィリエイト識別情報を挿入するものだったとされる。この処理によって、利用者を実際に商品へ誘導した別の媒体やアフィリエイトの識別情報が置き換えられる場合があった。

別の「passive trigger」と呼ばれる仕組みは、利用者が購入手続きをしているかを問わず、対象サイトで一定間隔ごとに追跡情報を送る設計だったという。さらに、利用者がPhiaのポップアップを閉じただけで追跡情報を付与する機能も報じられている。

これらの挙動が事実であれば、利用者が自分で販売サイトを訪れた場合や、別の媒体を経由した場合にも、Phiaが購入への貢献を主張する可能性が生じる。GoogleのChromeウェブストア向けポリシーは、利用者による関連操作や直接的な便益がない状態で、拡張機能がアフィリエイト用のリンク、コード、クッキーを挿入または置換することを認めていない。

■クッキースタッフィングと過去の刑事事件

利用者がアフィリエイトリンクを選択していないにもかかわらず、ブラウザに追跡用識別情報を付与し、購入の紹介者として成果を計上する行為は一般に「クッキースタッフィング」と呼ばれる。販売への貢献と報酬を結び付ける仕組みを利用し、実際には誘導していない取引のコミッションを取得する手法だ。

米国では、クッキースタッフィングを使ってeBayから報酬を得ていたアフィリエイト運営者が、連邦電信詐欺罪で有罪となった例がある。ブライアン・ダニング氏は同罪を認め、2014年に禁錮15カ月を言い渡された。ショーン・ホーガン氏も同年、禁錮5カ月と罰金2万5,000ドルを科されたと報じられている。

米連邦法の電信詐欺罪は、虚偽または詐欺的な表示などによって金銭や財産を得る計画を実行する目的で、州をまたぐ通信を使用した場合などに成立し得る。通常の上限刑は20年の拘禁刑だが、具体的な行為が犯罪の構成要件を満たすかは、認識や意図、通信の利用、取引の実態などに関する証拠を基に個別に判断される。

米最高裁が2025年に示した「Kousisis対合衆国」判決では、重要な虚偽によって相手を取引に誘導し、金銭や財産を得ようとした場合、被害者に純粋な経済的損失を与える意図がなかったことだけを理由に連邦詐欺罪を否定することはできないと判断した。同判決はPhiaについて判断したものではなく、Phiaや共同創業者に電信詐欺罪が成立するかは捜査機関や裁判所によって判断される問題である。

■機能停止後の収益急減をめぐる見解

Bloombergが確認したPhiaの内部資料によると、問題とされた機能が2026年7月7日に無効化された後、日次収益は約8万ドルから1万~2万8,000ドルへ低下した。1ドル=159円で換算すると、約1,272万円から約159万~445万円への減少となる。

また、Phiaのデータサイエンティストが社内に投稿した数値では、同年6月にPhiaが成果として計上した商品取扱高の約51%が、問題のある帰属によるものと推定されていたという。

Phiaは、この51%という数値について算定方法に問題があり、影響を過大に示していると反論している。収益の減少についても、問題となった機能だけでなく、ほかの収益化機能を同時に停止した影響が含まれると説明している。このため、収益減少の全額をクッキースタッフィングによるものとみなすことはできない。

同社は3,500万ドル(約55億6,500万円)のシリーズA資金調達を公表し、評価額は1億8,500万ドル(約294億1,500万円)と報じられていた。資金調達時には収益の大幅な成長が示されていたことから、問題とされた機能が当時の収益指標にどの程度影響していたかも焦点となる。

■Phiaが表明した対応

Phiaは報道後、誤った成果帰属を生じさせた機能を2026年7月7日に削除したと発表した。全取引を確認し、誤帰属があった取引について提携ブランドへの取り消し処理を始めているほか、コンプライアンス責任者を採用する方針を示している。

アフィリエイトプラットフォームのImpact.comは、最初のBloomberg報道後にPhiaの利用を停止したと報じられた。提携先に対する取り消し処理の対象や金額、完了時期については、Phiaから詳細が公表されていない。

買い物支援型のブラウザ拡張機能をめぐっては、PayPal傘下のHoneyについても、購入時にアフィリエイトの帰属情報を置き換えたとして、コンテンツ制作者らによる訴訟が続いている。カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所は2026年6月22日、修正された訴状に対するPayPalの却下申し立てを退けた。これは原告側の主張を事実と認定した判決ではなく、訴訟を次の段階へ進めることを認めた手続き上の判断である。

Phiaをめぐっても、報じられた社内メッセージと当初説明の食い違い、成果帰属の規模、提携先への処理状況が主要な論点となる。記事公開時点でPhiaはサービスを継続しており、共同創業者に対する刑事訴追は確認されていない。

■注目ポイントQ&A

●クッキースタッフィングとはどのような手法ですか?

利用者がアフィリエイトリンクを選択していないのに追跡情報をブラウザへ付与し、実際には購入へ誘導していない事業者や媒体が紹介報酬を得られる状態にする手法です。

●Phiaの共同創業者に電信詐欺罪が成立するのですか?

現時点でそのような司法判断はなく、共同創業者に対する刑事訴追も確認されていません。電信詐欺罪の成立には、詐欺的な計画への意図的な関与や、金銭または財産を得る目的、州をまたぐ通信の使用などについて立証が必要です。

●収益が最大87%減少したという理解でよいですか?

報じられた約8万ドルから1万~2万8,000ドルへの変化を単純計算すると、減少率は約65~88%です。ただしPhiaは、ほかの収益化機能も同時に停止したため、減少のすべてを問題の機能に帰属させることはできないと説明しています。

●Honeyをめぐる訴訟では不正が認定されたのですか?

認定されていません。2026年6月の決定は、修正された訴状に対するPayPalの却下申し立てを退け、訴訟の継続を認めたものです。主張の真偽や法的責任について最終判断を示したものではありません。

元記事: Phoebe Gates Monitored Phia Cookie Stuffing for Seven Months Before 24-Hour Denial

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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