LGとNVIDIA、ロボット学習データ10万時間を年内に確保へ 実測・合成データでRFMを強化

2026年8月19日 12:04

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記事提供元:Tech Times

Photo by Timofey Radkevich on Unsplash

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韓国電機大手のLGエレクトロニクスは8月18日、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)の幹部をソウル市瑞草区の良才キャンパスに建設中の「LGデータファクトリー」に招き、ロボティクス分野の協業方針を協議した。LGは施設で直接収集するデータと、NVIDIAの技術で増強・合成する仮想データを合わせ、2026年末までに10万時間分のロボット学習データを確保する計画だ。

10万時間は24時間連続で換算すると約11.4年分に相当する。ただし、すべてを実機の連続運転で集める計画ではなく、実環境で取得したデータと合成データを合算した目標値である。LGはこれらを、自社開発中のロボット・ファウンデーション・モデル(RFM)の高度化に活用する。

■LGデータファクトリーで協業を具体化

8月18日の協議には、LGエレクトロニクスのリュ・ジェチョルCEO、LG CNSのヒョン・シンギュンCEO、LGサイエンスパークのチョン・スホン代表らが出席した。NVIDIAからは、Omniverseおよびロボティクスの製品マーケティングを担当するシニアディレクター、マディソン・ファン氏らが参加した。

両社は、LGデータファクトリーの構築状況を確認するとともに、実世界で収集したデータを拡張し、ロボットの学習と性能改善へ循環させる仕組みについて協議した。LGは高品質なデータの確保と、学習・改善を繰り返す「データフライホイール」の構築を、フィジカルAI分野における競争力の柱と位置付けている。

今回の協議は、LGグループとNVIDIAが8月13日に米カリフォルニア州サンタクララのNVIDIA本社で、未来の戦略事業に関する協力覚書を締結してから5日後に行われた。両社は6月にも経営陣による会合を開き、フィジカルAI、AIインフラ、モビリティを中心とした協力方針を示していた。

■ロボットが家庭や製造現場の作業を反復

LGデータファクトリーは、一般的なデータセンターではなく、ロボットの学習用データを収集、検証、加工するための施設である。地下1階から地上3階までの4フロア、延べ床面積約1万平方メートルの規模で整備され、2026年末の全面稼働を目指している。

施設では、LGが開発した車輪型ロボット「LG CLOiD」が家庭を再現した空間で清掃作業を行う。米テネシー州にあるLGエレクトロニクスの洗濯機工場を模した製造環境では、部品の運搬、積み上げ、組み立てなどの作業を反復する。

LG CNSの物流自動化ソリューションを利用するエリアや、LGイノテックのロボットハンドを学習させる空間も設けられる。LGは年末までに、施設へ投入するロボットを数百台規模へ増やす計画だ。

こうした環境で得られるデータには、カメラ映像だけでなく、ロボットの姿勢や動作、センサーの計測値、制御情報などが含まれる。周囲の状況を認識し、指示に応じて動作するロボットを訓練するには、知覚情報と行動を時間的に対応させたデータが重要になる。

■実測データをOmniverse、Cosmos、Isaacで拡張

LGは、製造・物流現場や家電製品を通じて得たデータと、作業者が蓄積してきたノウハウをロボット学習に利用する。そこへNVIDIAのOmniverseライブラリ、Cosmosオープンワールドモデル、Isaacロボティクス開発プラットフォームを組み合わせ、データを増強・合成する。

NVIDIA Cosmosは、実世界の映像やセンサーデータなどを基に、物体や環境条件が異なる合成データを生成できる基盤モデル群である。実環境で収集した限られたデータから、多様な状況を含む学習データを作るという点で、LGが構想するデータファクトリーの中核技術の一つとなる。

NVIDIAが公表しているフィジカルAI向けデータファクトリーの仕組みも、実世界および合成データの処理、選別、増強、評価を一連の流れとして扱う。LGの施設では、実際の家庭や工場を模した環境から得るデータと仮想データを組み合わせ、ロボットの学習、検証、再収集へ循環させる。

この構造は、限られた実測データから条件の異なる学習例を増やしながら、実環境での検証結果を次の学習に戻すことを可能にする。現場で収集し、仮想環境で広げ、実機で確かめるという循環が、LGのRFMを継続的に改善するための基盤となる。

■10万時間は異なる種類のデータを含む目標

LGが掲げる10万時間には、施設で直接収集する実機データに加え、増強・合成によって生成する仮想データが含まれる。そのため、実機による操作データだけで構成されたデータセットや、人間の一人称視点映像を中心とするデータセットとは、時間数だけで単純に比較できない。

例えば、ロボット向け視覚・言語・行動モデル「LingBot-VLA 2.0」の開発チームは、約6万時間の事前学習用データを報告している。その内訳は、20種類のロボット構成から得た約5万時間の動作軌道と、約1万時間の人間の一人称視点映像である。

Dyna Roboticsは「Dyna-2」について、100万時間を超える人間の一人称視点映像で事前学習したと発表している。Googleの研究チームが2022年に公表した「RT-1」は、実ロボットによる13万件を超えるエピソードを学習に使用した。

これらは時間、軌道、エピソードなど集計単位が異なり、実機データ、人間映像、合成データの構成も同じではない。LGの計画の特徴は、家電や製造の現場を再現した専用施設を設け、実測データと合成データを一つの運用サイクルに組み込む点にある。

■二足歩行型ロボットと工場での検証も計画

8月13日の覚書に基づき、LGはNVIDIA Isaac GR00Tを利用した次世代の二足歩行型ヒューマノイドロボットを開発し、2027年第1四半期に公開する計画だ。搭載演算基盤にはNVIDIA Jetson Thorを使用し、安全関連技術にはNVIDIA Halos for Roboticsを活用する。

LGグループ内では、LGエレクトロニクスがアクチュエーター、LGイノテックがセンサー、LGエナジーソリューションがバッテリーなどの技術を持ち寄る。具体的な仕様や公開場所などの詳細は、現時点では明らかにされていない。

二足歩行型の公開に先立ち、LGは2026年中にLG CLOiDをテネシー州の洗濯機生産ラインへ導入し、実際の製造環境で検証する予定だ。検証で得られるデータや知見は、ロボットの性能と実用性を改善し、LGが開発するRFMを強化するために使われる。

ロボティクス以外では、NVIDIA DSXとVera Rubinを利用するAIファクトリーのリファレンスサイト、韓国・天安における80メガワット規模のAIファクトリー、NVIDIA DRIVE Hyperionを基盤とする次世代のAI定義型車両プラットフォームでも協業する計画だ。

LGデータファクトリーはまだ整備の途中にあり、10万時間は2026年末までの計画値である。今後は、実測データと合成データの内訳、収集したデータの品質管理、テネシー工場での検証結果が、データフライホイールの実効性を判断するポイントになる。

リュ・ジェチョルCEOは、グループの中核能力を結集する「One LG」の相乗効果とグローバルパートナーとの戦略的協業を通じ、フィジカルAI分野の競争力を確保し、ロボティクスの総合ソリューションプロバイダーを目指すとしている。

■注目ポイントQ&A

●10万時間は、ロボットが実際に10万時間動くという意味ですか?

いいえ。LGが施設で直接収集するデータと、NVIDIAの技術を使って増強・合成する仮想データを合わせた目標です。実機だけの連続稼働時間を示す数値ではありません。

●ロボットの学習データには何が含まれますか?

作業中の映像に加え、ロボットの姿勢や動作、センサーの計測値、制御情報などを時間的に対応させたデータが含まれます。モデルは、周囲の状況と実行すべき動作との関係をこうしたデータから学びます。

●NVIDIA Cosmosはどのような役割を担いますか?

実世界で得た映像やセンサーデータなどを基に、条件の異なる合成データを生成するために使われます。LGは実測データと合成データを組み合わせ、学習データの量と多様性を広げる計画です。

●LGの二足歩行型ヒューマノイドロボットはいつ公開される予定ですか?

2027年第1四半期の公開が計画されています。Isaac GR00T、Jetson Thor、Halos for Roboticsを活用する予定ですが、具体的な仕様や公開場所は明らかにされていません。

元記事: LG and Nvidia Race to Build 100,000 Hours of Robot Training Data in Seoul

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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