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脳波連動ロボットハンド「X-HAND」、WRC 2026に出展へ 非侵襲BCIとの統合を目指す

(Neofect.com)[写真拡大]
韓国のDynamic Solutionは、ウェアラブルロボットハンド「X-HAND」を、2026年8月19日から23日まで北京で開かれる「世界ロボット大会2026(WRC 2026)」に出展する。同社は、頭皮上で計測する脳波を利用した非侵襲型ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)とロボットハンドを組み合わせ、使用者の意図を機器の動作に変換するシステムの開発を進めている。
X-HANDは、韓国電子通信研究院(ETRI)から移転を受けたウェアラブルロボット技術を基盤とする。Dynamic Solutionは、触覚を扱うロボットハンドとBCIを統合し、操作指令と感覚情報を双方向にやり取りできる仕組みの商用化を目指している。ただし、X-HAND固有の脳波解読精度や応答速度など、性能を比較できる詳細な測定結果は公表されていない。
■X-HANDが目指す双方向インターフェース
X-HANDは、ケーブルをモーターで引いて指関節を動かす腱駆動方式と、小型の触覚センサーを組み合わせたウェアラブルロボットハンドである。Dynamic Solutionによると、限られた内部空間にも搭載できる触覚センサーを利用し、遠隔地にあるロボットハンドの動きや接触情報を使用者側へ伝えることを想定している。
同社が開発を進めるBCI連動システムでは、頭皮に装着した電極で脳波を計測し、機械学習によって運動の意図に関連するパターンを分類する。そこで得られた結果をロボットハンドの制御信号へ変換するという、入力、解読、出力の情報処理構造を採る。
運動を実際に行ったときや、動作を頭の中で思い描いたときには、感覚運動野でミュー帯域やベータ帯域の活動に変化が生じることがある。運動想起型BCIでは、こうした事象関連脱同期などの特徴を手掛かりに、使用者が意図した動作を分類する。
触覚センサーを備えたロボットハンドと組み合わせれば、使用者から機器へ動作の意図を送り、機器側から接触情報を返す双方向インターフェースを構成できる。X-HANDの構想は、脳波の解読だけでなく、ロボットの駆動と感覚情報の提示までを一つのシステムにまとめようとする点に特徴がある。
■ETRIの技術を取得、複数企業との開発体制を構築
Dynamic Solutionは、リハビリ機器を手掛けてきた旧Neofectを前身とする韓国企業である。2026年3月、ETRIが韓国と米国で出願したX-HANDおよび遠隔ウェアラブルロボット関連技術について、非独占ライセンスを取得した。
同社とETRIは同年5月、ロボットハンドやロボットアームに応用できる現実・仮想空間統合技術とインタラクション技術の共同開発に向けた意向書を締結した。触覚対応ウェアラブル機器や、仮想空間におけるAIベースの動作推定などを共同研究の対象としている。
Dynamic Solutionは、BCI企業のYbrainとも2026年4月に業務提携した。両社は、脳神経信号を利用した制御技術とAIロボティクスの共同研究、BCIソリューションの事業化、政府研究開発事業への共同参加などを進める方針を示している。
同年6月には、韓国科学技術院(KAIST)発のVibatroboticsと、ロボットハンド技術の確保と事業化に向けた覚書を締結した。Vibatroboticsは、視覚や触覚に加えて近接センサーを利用し、物体との距離や位置を把握して把持動作につなげる多指ロボットハンドの研究開発を進めている。
Dynamic Solutionによると、同社はセンシング、身体動作支援、手指リハビリ、ウェアラブルロボットなどに関する特許を韓国内で67件、海外で47件保有している。X-HANDでは、これまで蓄積してきたリハビリ機器の技術と、ETRIやVibatroboticsのロボット技術、BCI関連企業との協力を組み合わせる計画だ。
■非侵襲BCIによる指単位の制御研究
頭皮脳波を使う非侵襲型BCIには、外科手術を伴わず装着できる利点がある。一方、脳内や脳表に電極を置く方式と比べると、頭蓋骨や頭皮を介して信号を計測するため空間分解能や信号対雑音比が低く、眼球運動や顔、頭部の筋活動などの影響も受けやすい。
指ごとの運動に対応する脳活動は互いに近く、重なりも大きい。このため、頭皮脳波から個々の指の意図を識別し、ロボットハンドへ反映することは、非侵襲BCI研究における重要な課題となっている。
カーネギーメロン大学の研究チームは、2025年6月に査読誌『Nature Communications』で、頭皮脳波を使って個別のロボット指をリアルタイムに動かす研究を発表した。実験にはBCIの使用経験を持つ健常者21人が参加し、運動想起条件では2つの指を分類する課題で平均80.56%、3つの指を分類する課題で平均60.61%の正解率を記録した。
この数値は、決められた実験条件と参加者群における分類成績であり、X-HANDの性能を示すものではない。それでも、頭皮脳波から指単位の運動意図を読み取り、ロボットの動きへ変換する情報処理の構造を実証した研究として、X-HANDが目指すシステムを読み解く手掛かりになる。
実用化に向けては、使用者や装着状態が変わっても安定して動作するか、どの程度の事前学習や調整を必要とするか、連続操作で誤作動を抑えられるかといった評価が重要になる。Dynamic SolutionがWRC 2026でどの範囲までBCI連動機能を実演し、どのような測定結果を示すかが注目点となる。
■K-Moonshotを背景に進む韓国のBCI研究
韓国科学技術情報通信部は、科学技術とAIを活用して国家的課題の解決を目指す研究開発構想「K-Moonshot」を推進している。2026年から2030年までの事業全体の予算として6,000億ウォンが示され、8分野の12ミッションに産学官で取り組む計画である。
BCIは先端バイオ分野のミッションの一つに位置付けられており、脊髄損傷、発話障害、パーキンソン病などに関係する技術の事業化が研究目標として掲げられている。6,000億ウォンはK-Moonshot全体の予算であり、全額がBCI分野へ投入されるわけではない。
Dynamic Solutionは、YbrainやVibatroboticsなどとの提携を通じて、K-Moonshot関連事業への参加とBCI対応ロボットハンドの共同開発を進める方針だ。現段階では、企業間の覚書や技術移転を基に研究開発体制を整えている段階であり、具体的な製品仕様や提供時期は公表されていない。
■WRC 2026で実機を披露へ
WRC 2026は8月19日から23日まで、北京市大興区の北人亦創国際会展中心で開催される。初日の19日は新製品などを紹介する「Release Day」、20日は調達をテーマとする「Procurement Day」、21日は開発者向けの「Developer Day」、22日と23日は一般公開日とされている。
会期中には企業展示やフォーラムに加え、World Robot Contestも行われる。競技分野には、BCIを利用したロボットや無人車両、脳波関連システムなどを扱う種目が含まれる。研究室内の評価だけでなく、展示会や競技の環境で脳波計測と機器制御を安定して行えるかを観察できる機会となる。
Dynamic Solutionの中国での展示はWRCが初めてではない。同社は2026年7月に上海で開催された世界人工知能大会(WAIC)にも参加し、中国企業を含むロボティクス・BCI関連企業との協力可能性を模索した。中国での展示参加は、韓国科学技術情報通信部傘下のグローバルイノベーションセンターによる中国市場進出支援事業の対象に選ばれたことを受けたものだ。
同社は2027年1月に米ラスベガスで開催されるCES 2027への参加も表明している。WRC 2026では、X-HANDのロボットハンドとしての動作に加え、脳波による意図の解読と触覚情報の提示をどこまで一体化して示せるかが焦点になる。
■注目ポイントQ&A
●EEGによるロボットハンド制御はどのような仕組みですか?
頭皮上の電極で脳波を計測し、運動の実行や運動想起に伴う脳波パターンを機械学習で分類します。その分類結果をロボットハンドの動作指令へ変換する仕組みです。利用する信号や学習方法、操作できる動作の数はシステムによって異なります。
●非侵襲型EEGによる指の制御精度はどの程度ですか?
カーネギーメロン大学の2025年の研究では、BCI経験者21人を対象とした運動想起実験で、2指課題の平均正解率が80.56%、3指課題が60.61%でした。特定の研究条件で得られた結果であり、すべての利用者や別の装置にそのまま当てはまる数値ではありません。
●X-HANDの脳波制御性能は公表されていますか?
X-HAND固有の解読精度、誤作動率、応答時間など、他のBCIと比較できる詳細な性能値は確認されていません。WRC 2026で行われる展示の内容や、今後公開される測定結果が判断材料になります。
●K-MoonshotとX-HANDにはどのような関係がありますか?
K-Moonshotは韓国政府が推進する研究開発構想で、BCIは12ミッションの一つです。Dynamic Solutionは関連企業との提携を通じ、BCI対応ロボットハンドや伝送ソフトウェアの共同開発と、関連事業への参加を進める方針を示しています。
●侵襲型BCIと非侵襲型BCIの違いは何ですか?
侵襲型BCIは脳内や脳表付近に電極を配置し、非侵襲型BCIは頭皮上から脳活動を計測します。一般に侵襲型は高品質な信号を得やすい一方で手術を伴い、頭皮EEGは装着しやすい一方で信号の分離やノイズ対策が重要になります。
元記事: Brain-Controlled Robotic Hand Debuts at WRC 2026 as Korea Backs Non-Invasive BCI
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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