GoogleがMetaへの「Gemini」供給を制限、AI電力不足が深刻化

2026年7月1日 15:51

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記事提供元:Tech Times

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Googleが、Metaが求める水準のAIコンピューティング能力を提供できず、同社への「Gemini」提供に制限をかけていることが報じられた。この制限は、Google Cloudの巨額の受注残と、AI業界全体を揺るがす深刻な電力不足が背景にあるとみられている。Metaはこれに対抗すべく、テキサス州で大規模な太陽光発電契約を結ぶなど、自社での電力確保を急いでいる。

■GoogleがMetaへのGeminiアクセスを制限、受注残は4600億ドルに

Financial Times(2026年6月28日付)の報道によると、Googleは2026年3月頃、Metaに対し、同社が希望するGeminiのコンピューティング容量を完全には提供できないと伝えたという。この報道はその後、Reuters、Bloomberg、CNBCなども後追いしている。この制限により、Metaは従業員に対してAIの「トークン」(モデルの使用量を測定する単位)を節約するよう促す事態となり、一部の社内AIプロジェクトに遅れが生じたと報じられている。

Metaはコンテンツモデレーションや詐欺検出、コーディング業務にGeminiを使用しており、一部の作業では自社の「Llama」モデルよりも優れていると評価していた。しかし、競合でもある外部プロバイダーへの依存を減らすため、Metaはこれらの業務を自社のSuperintelligence Labs部門が開発した独自モデル「Muse Spark」へ移行させつつあるという。

Googleが供給を制限せざるを得なかった背景には、同社の爆発的な需要増がある。Google Cloudの2026年3月期四半期売上高は前年同期比約63%増の200億ドルを突破し、未納入の契約残高(バックログ)は約4600億ドル(約74兆5200億円、1ドル=162円換算)へとほぼ倍増した。Googleはこの需要を埋めるため、2026年6月にSpaceXに対し、同社のColossusデータセンターにある約11万台のNvidia製GPUへのアクセス料として月額9億2000万ドル(約1490億円)を支払うことで合意している。

■Metaはテキサス州で太陽光発電の確保を急ぐが、ガス火力依存の懸念も

こうしたインフラ不足を背景に、Metaはテキサス州での電力確保を急ピッチで進めている。同社はトルコの複合企業Sabanci Holdingの米国再生可能エネルギー部門であるSabanci Renewablesと長期の電力購入契約(PPA)を締結し、テキサス州の2つの太陽光発電プロジェクトから計220メガワット(AC)の電力を全量購入することに合意した。これらは2027年後半に商業運転を開始する予定である。

MetaはすでにRWEやEngieとも同様の契約を結んでおり、同州における再生可能エネルギーの契約総量は1ギガワットを超えている。しかし、同社がエルパソに建設中の第3データセンターを巡っては、当初の「太陽光で稼働する」という説明に反し、地元電力会社がデータセンター専用の366メガワットの天然ガス火力発電所の建設許可を申請していることが判明した。これに対し、地元自治体や環境団体からは強い反対の声が上がっており、クリーンエネルギーをアピールするMetaの姿勢との乖離が指摘されている。

■「電力購入契約(PPA)」ではデータセンターの電力は確定しない

多くの報道で見落とされがちだが、PPA(電力購入契約)を結んだからといって、そのクリーンな電気が直接データセンターに届くわけではない。PPAは主に「環境価値(再生可能エネルギー証明書)」を取引する財務的な仕組みであり、データセンター自体は依然として地域の送電網から通常の電力を引き込んでいる。

テキサス州におけるAIインフラ構築の真のボトルネックは、契約書への署名ではなく「送電網への接続(インターコネクション)」である。同州の送電網を運営するテキサス電気信頼性評議会(ERCOT)への接続申請は、2025年11月時点で約226ギガワットに達し、前年の63ギガワットから急増している。バックログが膨大になったため、ERCOTは2026年6月、データセンターの接続審査を個別ではなく一括で行う「バッチゼロ(Batch Zero)」プロセスを導入せざるを得なくなった。

■AIの制約は「チップ」から「電力」へ移行

業界アナリストらは、2026年初頭を境に、AIインフラの制約が「資金やチップの不足」から「電力や物理的な電気設備の不足」へと移行したと指摘している。調査会社HyperFrame Researchの半導体・ディープテックアナリスト、スティーブン・ソプコ氏は「短期的にはシリコン(チップ)が制約となるが、長期的な制約は電力だ」とData Center Knowledgeに語っている。

ゴールドマン・サックス・グローバル・インスティテュートも同様のダイナミクスを指摘しており、送電網への接続待ちや、高圧変圧器、開閉装置といった重電機器の調達遅延が、投資から実際の稼働までの期間を長期化させていると分析する。変圧器などのリードタイムは18〜48ヶ月に達しており、これらはデータセンター建設費の10%未満に過ぎないものの、遅延の最大の原因となっている。チップ不足は製造能力の拡大によって1〜2年で緩和できるが、送電網の拡張や重電機器の製造には、他の大型インフラと同様に何年もの歳月が必要となる。

■注目ポイントQ&A

●なぜGoogleはMetaへのGemini供給を制限しているのですか?

Financial Timesの報道によると、Googleは自社のクラウド部門で約4600億ドルもの未納入契約(バックログ)を抱えており、Metaが求める規模のコンピューティング容量を十分に供給できないためです。Meta以外の顧客も同様の制限を受けているとされています。

●太陽光発電の電力購入契約(PPA)を結べば、データセンターにその電力が供給されますか?

直接供給されるわけではありません。PPAは主に環境価値(再生可能エネルギークレジット)を取引する財務的な契約であり、データセンター自体は地元の送電網から電力を得ています。実際に稼働させるには、送電網への物理的な接続許可が必要ですが、この手続きに数年単位の遅れが生じています。

●AI業界は現在、チップと電力のどちらが不足していますか?

2026年半ば現在、アナリストらは長期的な制約要因として「電力」と「送電網への接続、および変圧器などの物理的な電気設備」を挙げています。これらは資金を投入しても短期間で解決できないインフラ特有の課題となっています。

●MetaはGoogleへの依存を減らすためにどのような対策をとっていますか?

Metaは、自社のSuperintelligence Labs部門が開発した独自モデル「Muse Spark」へ、コンテンツモデレーションなどの業務を移行させ始めており、競合であるGoogleのインフラへの依存度を下げようとしています。

元記事: AI Compute Shortage Forces Google to Ration Gemini for Meta Despite $460B Backlog

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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