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キオクシアのストックオプション、従業員約600人に平均10億円超の含み益との報道
AIブームに伴う株価急騰により、キオクシアのストックオプションを保有する従業員約600人が、平均10億円以上の含み益を得ていると報じられた。これは、2018年の買収時に現場の管理職らにもオプションを広く付与したベイン・キャピタルらの判断によるものである。ただし、これは一時的な株価ピークに基づく未実現の含み益であり、税金や市況の変動による影響を受ける点には留意が必要である。
■東芝の元事業から日本一の価値を持つ企業へ
日本経済新聞の報道によると、キオクシアは現在、時価総額がトヨタ自動車を抜いて数十兆円規模に達し、日本で最も価値のある上場企業となっている。キオクシアの前身は東芝のメモリ事業部。東芝は米国の原子力事業に伴う巨額の損失(2016〜2017年度に1兆円以上)や不正会計問題を受け、同事業を売却した。
2018年、米プライベート・エクイティ(PE)ファンドのベイン・キャピタルが率い、韓国のSKハイニックスも参加するコンソーシアムが、約130億ドル(約2兆1060億円、1ドル=162円換算)で同事業を買収。翌年「キオクシア」に社名を変更した。
■なぜ多くの一般従業員にオプションが配られたのか
PEファンドによる買収案件としては異例なことに、ベインは役員だけでなく、部長や課長などの現場管理職にもストックオプションを分配した。報道によると、米国のベイン本社はこれに反対したが、日本チームが「成果を牽引する現場の管理職と利益を分かち合うことが、日本の企業文化において不可欠である」と主張したという。2018年になされたこの選択こそが、ファンドや創業者だけでなく、溶接工や技術者、中間管理職といった現場の従業員が今日、巨額の含み益を手にしている理由である。
ストックオプションとは、あらかじめ決められた「権利行使価格」で自社株を購入できる権利。株価がその価格を大きく上回れば、安く買って高く売ることで差額が利益となる。キオクシアの対象従業員約600人が保有するオプションの権利行使価格は1,667円から2,600円の間だった。
同社が2024年12月に東京証券取引所に上場した後、AI向けストレージ需要を背景に株価が急騰。日本経済新聞の試算によると、付与された約700万株分のオプション価値は、6月22日の高値(112,700円)時点で約7,900億円に達し、1人あたりの税引前含み益は平均10億円(約650万ドル)を超えたという。
■数字の裏にある「3つの留意点」
ただし、この「平均10億円」という数字には、見落としてはならない3つの留意点がある。第一に、これは「含み益」であり、現金ではない。オプションを行使して株式を売却して初めて現金化される。また、この試算は特定の1日の最高値に基づいているため、株価の変動によって価値は上下する。
第二に、これは税引前の数値である。日本におけるこうした利益に対する税率は高いため、実際の純手取り額は大幅に少なくなる。
第三に、キオクシアが属するNAND型フラッシュメモリ業界は、テクノロジー分野の中でも特にサイクル(好不況の波)が激しい。キオクシア自身も2022年から2023年にかけて深刻な供給過剰に直面し、IPO(新規公開株式)の延期を余儀なくされた経緯がある。そのため、現在のピーク時の株価が今後も維持される保証はない。
■AI時代における富の分配の新たな形
この急成長を支えているのは、AIの普及によってデータストレージが不足する中、キオクシアがNANDフラッシュの専業メーカーとして確固たる地位を築いていることである。AIモデルの巨大化に伴い、生成・消費されるデータが急増し、それを保存するフラッシュメモリの需要が供給を上回っている。キオクシアは、2026年の生産能力分はすでに完売したと発表している。
2026年度の連結営業利益は前年度の約8倍となる約7兆円と予想されており、これが株価上昇と従業員への還元の原動力となっている。
日本経済新聞は、この出来事を「AI時代の富が、予想外の人物や場所へ分配される新たな事例」として位置づけている。これは、スペースX(SpaceX)の社員約4,400人が自社株販売を通じて資産家になった例や、サムスン電子やSKハイニックスが株式やボーナスを通じて従業員との利益還元を拡大している動きとも重なる。共通しているのは、AI構築による恩恵が、半導体設計者や投資家だけでなく、主役の陰に隠れた労働者やサプライヤーにも行き渡り始めているという点である。
もちろん、ファンド側も莫大な利益を得ている。ベインは保有株の大部分を売却して150億ドル(約2兆4300億円、1ドル=162円換算)以上を回収しており、フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)はこれを「史上最も収益性の高いPE取引の一つ」と報じている。しかし、今回のケースが異なるのは、半導体を作り上げた何百人もの現場の人々も同時に、巨額の含み益を手にしている点である。
■注目ポイントQ&A
●キオクシアの従業員はどのようにして富を得たのですか?
2018年にベイン・キャピタル率いるコンソーシアムがキオクシアを買収した際、約600人の従業員に権利行使価格1,667円〜2,600円のストックオプションが授与されました。2024年12月の上場後、AI需要を背景に株価が急騰し、6月22日の高値(112,700円)時点で、付与された約700万株分のオプション価値が約7,900億円に達しました。これにより、1人あたり平均10億円以上の税引前含み益が生じたと日本経済新聞が報じています。ただし、これは特定の日の株価に基づく未実現の含み益であり、手元の現金ではない点に留意が必要です。
●なぜキオクシアの価値はトヨタ自動車を上回っているのですか?
キオクシアは、AIデータセンターのSSDなどに使われるNAND型フラッシュメモリの専業メーカーです。AIモデルの急激な成長に伴いストレージ需要が供給を上回り、同社の業績と株価は2024年12月の上場後に急騰しました。この上昇により、一時的に時価総額がトヨタを抜いて日本一の上場企業となりました。これはAI関連の半導体企業に対する投資家の期待を反映したものです。なお、市場の順位は日々変動しており、他社が一時的に首位に立つこともあります。
●キオクシアと東芝の関係は何ですか?
キオクシアはもともと、NAND型フラッシュメモリを開発した東芝のメモリ事業部でした。東芝が米国の原子力事業での巨額損失(2016〜2017年度に1兆円以上)や会計不祥事に見舞われた際、同事業の売却を決定しました。2018年に米ベイン・キャピタル主導のコンソーシアム(SKハイニックスも参画)が約130億ドルで買収し、2019年に「キオクシア」へと社名が変更されました。その後、2024年12月に東京証券取引所へ上場しています。
●ストックオプションとはどのような仕組みですか?
ストックオプションとは、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で自社株を購入できる権利を従業員に付与する制度です。将来、株価がその価格を大きく上回った場合、従業員は低い固定価格で株を購入し、その差額を利益として得ることができます。ただし、この利益はオプションを行使して株式を売却するまでは「含み益」に過ぎず、株価が下がれば減少または消失する可能性があります。また、通常は課税対象となります。一般的には経営陣に限定されることが多いですが、キオクシアでは現場の管理職にも広く付与されました。
元記事: Kioxia’s Stock Options Turn Some 600 Employees Into “Billionaires”
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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