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AIバブルで懸念される“SaaS”の死
●アンソロピックショックでSaaS関連株が下落
2月の初旬にAIモデル「Claude」(クロード)を開発する米アンソロピック社が、営業・法務・データ分析を自動化する新しいAIツールを発表。専用ソフトウェアがAIに取って代わられるという懸念から、ソフトウェアサービスを提供するSaaS(software as a service)関連の株が軒並み下落する場面があった。
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米国のソフトウェア関連株は1週間で1兆ドル(1500兆円)、日経平均も2月13日に900円下落し、アンソロピックショックとなった。
米調査会社ピッチブックが2月9日に「SaaS is dead」(SaaSは死んだ)という衝撃的なリポートを出し、市場では「SaaSの死」と捉えられた。
AIがSaaSに取って代わることで、SaaSの時代は終わるのだろうか?
●SaaSがこれまで果たしてきた役割
近年SaaSがもたらした影響力は大きかった。
CRM(顧客関係管理)をクラウド化したSalesforce、コロナ禍でリモートワークを普及させたZOOMやSlack、経理を自動化したfreeやマネーフォワード、誰でもネットショップが開設できるShopifyなど、これらの企業以外にも枚挙にいとまがない。
これまで高額ソフトが必要だった時代からサブスクモデルとなり、ITの民主化とも言われる。
クラウド共有とリモート社会の基盤、企業活動の数値化により、小規模でも大企業並みのITインフラを整えることができるようになった。
起業へのハードルが下がったとも言える。
●SaaSは死んだのか?
「SaaS is dead」を発表したピッチブックは、その後に「Long live SaS!」(SaS万歳)とも綴っている。
これは従来のソフトウェア製品をクラウドで提供するビジネスモデルのSaaSと、サービスを通して成果を上げるSaSを区別している。
市場は一夜にしてSaaSがAIに侵食されるかのような行き過ぎた悲観論が先行したが、AI半導体大手NVIDIAのファンCEOは、AIがソフトを駆逐するとの見方を「非論理的なこと」と一蹴している。
ただアンソロピックのようなAIエージェントが、SaaSを操作する時代が来ることは十分考えられる。
そうなれば、SaaSにかける費用はAIエージェントへと振り分けられ、SaaSへの予算が削られる可能性もある。
企業の顧客情報や契約情報などを蓄積するSaaSや、セキュリティに関わるSaaSなどは、AIエージェントに取って代わられづらい。
これからはSaaSというブランドだけで業績や株価が上がる時代ではなく、AI時代に通用するSaaSだけが選ばれる時代になるという示唆が、アンソロピックショックかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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