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米政府機関閉鎖がもたらした深刻な影響 利下げの行方は?

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いま最も相場を動かすのは、アメリカの政策金利だ。FRB(連邦準備制度理事会)が年に数回定期開催するFOMC(連邦公開市場委員会)の2025年の最終回が、日本時間12月9日・10日に迫り、様々な情報が世界経済を賑わせている。
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株価も債券も貴金属も、「結局アメリカは利下げをするのか、それともしないのか」を吟味している情勢だ。その緊張感のなかに今回、アメリカ政府機関閉鎖の影響で、「資料が足りない」という異常事態となっている。
■10月の雇用統計が発表されないという衝撃
11月19日、米労働省労働統計局(BLS)は、10月の雇用統計が発表できないことを公表したと、ロイター通信が報じた。今後は微調整し、11月分は当初予定の12月5日から、同月16日に延期される。平時なら「アメリカ政府も大変だなあ」で済むところだが、今回の政府機関閉鎖は大きな影響がある。
■資料不足による利下げ見送り vs 新総裁人事
当初FOMCは12月の開催回において、利下げの決定を予定していた。そのために今秋は0.25%の利下げにとどめる「ソフトランディング」を実施している。
本番はこれからだ。FRB内部からはそんな声も聞こえるが、残念ながら組織は一枚岩では無い。利下げで進むインフレ(インフレーション)を杞憂する一派がおり、パウエル現総裁もその立場だ。
■発言するNo.3
11月25日に、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「近いうちに追加利下げの可能性がある」と示唆した。FRBのNo.3と目されている同氏の発言は、12月の利下げがあることの信憑性を高めている。
そして11月26日、いよいよ真打ともいえるニュースが入ってきた。FRBの新総裁人事だ。次期総裁にはハト派寄りのNEC(アメリカ国家経済会議)のハセット委員長が有力候補として挙がっている。2025年中に次期総裁が内定すると、2026年以降も継続して利下げを実行していこうというメッセージになる。
アメリカ政府による対中国の関税免除期間の延長が発表されたこともあり、11月末には、政策金利のニュースは一時沈静化した格好だ。12月、師走のなかで飛び込んでくるのは利下げと見送り、どちらの方向だろうか。(記事:株式会社FP-MYS 工藤 崇・記事一覧を見る)
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