中古車市場最大手:ガリバーは、「大型店」戦略に大きく舵を切ろうとしている

2025年10月8日 13:27

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 IDOM(7599、東証プライム市場、以下ガリバー)。中古車買い取りで首位。「ガリバー」を展開。配当性向30%目安。

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 「車幅感覚がおかしくなった時が、車とサヨナラするタイミング」。最初の車を購入した際にディラーの営業マンから言われた。

 数年前に車とオサラバした。近場の中古車買い取り・リメイク販売の業者に持ち込んだ。「車は走ればいい」と修理しないままのコスリ・ヘコミが多々あったことや、車両の年式で「次の車検代はうちが持つ、引き取り額はゼロ」。「車なし生活」に暫く不便したが・・・

 今回、ガリバーを覗き込むに当たり「中古車市場」の現状を調べてみた。

 中古車価格が「車両の年式(3年/5年内かどうか)」「走行距離」「車の状態」で査定されることは当然として、経済的要因に伴う需給関係もポイントになる。

 例えば2022年に入ると「半導体不足」が問題化した。周知の通り車には電子部品が多々使われている、とりわけ半導体はその中核。加えて円安の進行⇔部品高に伴う値上げ/価格上昇。新車の生産減により中古車の需要が増加。この状況は25年に入り緩和。新車の生産が回復し中古車動向にも落ち着きが出た。

 言い換えると、中古車相手のビジネスも容易ではない。そもそも日本では中古車市場の比率は欧米に比べてまだまだ低い。

 そうした潜在的な立ち位置の中で、ガリバーも収益動向の推移を余儀なくされている。が前期・今26年2月期は、明らかな変化を示している。「18.3%増収、23.4%営業増益」、そして今期も「2.5%増収(5090億円)、11.1%増益(221億円)」計画。

 収益の効率化⇔大型店中心の経営のシフトが、その背景として認められる。大型店は、こう捉えればよい。「敷地面積2500坪~/展示台数約300台」&「整備工場や板金工場の併設」で、付随事業体制を整える。

 至27年2月期の中計では「大型店軸の17万台販売台数」を掲げ、「大型店出店(50店)に200億円投資/IT(DX、AI)に20億円投資」としている。一方で従来の中型店は外車orカスタマイズカーなど、エリアに応じ専門店化を進めて行くとしている。

 本稿作成中の株価は1000円トビ台。予想税引き後配当利回り3%強。課題を抱えつつも日本にあっては中古車市場のガリバー。予想PER7.75倍と買い人気は落ち着いているが、この限りでも投資妙味は覚える・・・。IFIS目標平均株価1565円。判断は読者の責任。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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