KDDIやシャープ、対話AI搭載ロボで介護実証を実施 ロボホンとミクサスを活用

2023年11月14日 08:15

印刷

今回の介護実証に使用されるロボホン(画像: シャープの発表資料より)

今回の介護実証に使用されるロボホン(画像: シャープの発表資料より)[写真拡大]

  • 対話履歴と対話要約画面

 KDDI(東京都千代田区)やシャープ(大阪府堺市)ら4社は13日、対話AI搭載型ロボットによる介護現場での実証を開始すると発表した。ケアマネージャーの業務負担を軽減し、介護業界の人材不足解消につなげたい考えだ。

【こちらも】富士通、AIで要介護リスクを早期発見する介護予防製品発売 国内初

 シャープのコミュニケーションロボット「ロボホン」に、対話AIシステム「ミクサス」を搭載。高齢者の居室にロボットを設置する。高齢者の生活リズムにあわせて指定時間にロボットが話しかけ、健康状態のヒアリングやイベントの案内などを行う。

 健康状態の確認など、ケアマネージャーの業務を代行し負担を軽減する。発話時刻以外でも、ロボットに話しかけると雑談ができる。ロボホンは手ぶり身振りなど非言語コミュニケーションもとれるため、高齢者の生活に溶け込みやすい。

 期間は11月17日~12月18日まで。やさしい手(東京都目黒区)が運営する東京都内の高齢者向け住宅などの利用者10名を対象に、実証実験を行う。実験には他に、日本総合が参加している。

 今回の実証では、「ミクサス」に「対話履歴と対話要約の共有」「注意すべき回答があった場合の警告機能」「雑談」なども追加した。雑談を通して高齢者の関心事などを集めて、高齢者と離れて暮らす家族とのコミュニケーション活性化にもつなげる。健康に関して注意すべき回答があった場合は専用サイトに警告画面を出す。不足の事態に迅速に対応できるようになる。

 団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、介護業界の人手不足が深刻化する「介護の2025年問題」が取りだたされている。介護業界では2025年度に約32万人、2040年度には約69万人の人手が足りなくなると予測されており、政府は介護のDX化を推進している。

 KDDIは2022年にも「ミクサス」を搭載したぬいぐるみ型の専用端末による実証実験を実施している。その際には、高齢者の健康状態や生活状況の情報収集のための業務時間などを約7割削減することができた。だが端末に対する関心度の低下や、会話内容を家族に共有できないなどの課題が判明していた。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事