富士通、AIで要介護リスクを早期発見する介護予防製品発売 国内初

2022年1月26日 11:41

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介護予防AIスクリーニングの分析イメージ(画像:富士通の発表資料より)

介護予防AIスクリーニングの分析イメージ(画像:富士通の発表資料より)[写真拡大]

 富士通は25日、AIを用いて要介護リスクを予測する「MCWEL(エムシーウェル)介護保険V2 介護予防AIスクリーニングオプション」を販売開始すると発表した。販売対象は自治体で、既存の介護保険事務業務の効率化システム「MCWEL介護保険V2」のオプションとして提供する。AIと介護保険システムを活用して介護リスクを予測する製品としては、国内初という。

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 MCWEL介護保険V2は、介護保険被保険者の個人情報や給付実績、保険料などの管理や運用を一元化するシステム。情報管理や閲覧に加え、給付通知書など各種書類を作成でき、既存住民情報システムなどとも連携可能。介護保険事務業務の効率化ソリューションとして提供している。

 オプションとなる介護予防AIスクリーニングは、MCWEL介護保険V2のデータベースを活用。システム上の要介護(要支援)認定者情報や、同居人の有無、過去の受給履歴などをAIに学習させる。AIは、要介護者の特徴の組合せと介護リスクへの影響度を分析。分析データをグループ分けし、将来的に要介護リスクが高い順にグラフなどで可視化する。

 スクリーニングには、富士通が開発した説明可能なAI「Wide Learning」を活用。Wide Learningは、データ項目を網羅的に組合せて起こる可能性がある仮説を複数抽出し、その中でヒット率の高い重要な仮説を明示する。人がAIの分析根拠を把握できる技術だ。

 自治体職員は、抽出されたグラフや分析結果などから介護リスクの傾向把握が可能。データ活用の方法として、介護予防イベントの開催や、ハイリスク者への早期アプローチなどを想定しているという。

 販売に先立ち、富士通は2019年に福島県いわき市役所と共同で、介護リスク予測の実証実験を実施。学習させたAIで未認定の高齢者データを分析し、上位230名のハイリスク者を抽出した。

 該当者に対する同市の訪問ヒアリングでは、69%が生活などに課題を持ち何らかの支援が必要な状態だったという。それを受け市は、介護予防アドバイスや地域の介護予防活動への参加促進などを行っている。実証実験での有効性検証のもと機能強化を図り、今回の販売開始に至ったという。

 介護保険制度は2000年4月に開始。厚生労働省によると要介護認定者は年々増え、20年経過した2019年4月末には659万人と、当初の218万人から約3倍となり、2021年4月末には684.2万人まで増加したという。一方で介護保険は申請主義を取っており、悪化した状態で初めて申出るケースも少なくない。介護度悪化前の予防や早期フォローが有効だが、高齢化の加速もあり、人力だけでは自治体の負担増は避けられない。

 介護予防AIスクリーニングの販売は1月25日から開始。富士通は、MCWEL介護福祉事業全体で、2024年度までに累計売上約12億円を目指すという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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