クラウドソーシング展開のクラウドワークス:時代の流れに沿ったという評価も株価は気迷い継続

2023年7月12日 08:30

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 クラウドワークス(東証グロース)。クラウドソーシングを展開する上場会社の双璧の1社。

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 世の中に着実に浸透してきたクラウドソーシング。「企業がインターネット上で不特定多数のワーカーに業務を発注するのに対し、ワーカー(個人・法人)が託された責務を担う業務形態」。私もクラウドワークスに登録し、かれこれ7年余り某ネット新聞のライターを続けている。

 「働きようの在り方の変化が要因」。「とりわけコロナ禍を契機に普及した在宅システムが、副業としてクラウドソーシングを広めた」とする指摘がある。否定はしない。が慶應義塾大学大学院特任教授:岩本隆氏は2020年9月9日の調査レポートで、こう記している。

 「(日本の)労働人口6866万人、非労働人口4196万人のうち2149万人が潜在的フリーランス人口と推計される」。つまり潜在需要は元々高い。

 周知の様に2020年「経済財政運営と改革の基本方針~危機の克服、そして新しい未来へ~」とする「骨太の方針2020」が閣議決定され、フリーランスという新しい働き方の浸透と環境整備が重要政策として位置づけられた。緒論はあるが今年4月末には通称「フリーランス保護新法」が国会で決議された。

 若年層の働き方の多様性、少子化進行に伴う労働力不足の流れを勘案すると「フリーランス」の存在は今後とも真摯に論議されて行かなくてはならない。「社内に必要な人材を整備するには、時間・教育のコスト負担が伴う」「専門知識やスキルをプロに外注できる」「業務の効率化が図れる」と言ったメリットは裏返すと、「専門知識・スキルが社内に蓄積できない」というデメリットに通じる。

 そんな側面を孕みながらも、クラウドソーシングの足元・今後をどう見ておけば良いのか。
 クラウドワークスの収益動向・今後の予想から覗いてみた。

 2021年9月期はコロナ期の減収・損失から、立ち直りに転じた。22年9月期は「36.1%増収、62.1%営業増益」、そして今9月期は「22.9%の増収(130億円)、7.2%営業増益(10億円)」計画。開示済みの中間期時点でも、修正は行われていない。

 クラウドワークスは「今後の見通し」を「フリーランスや副業の活用は進む。特に人材マッチング市場におけるエンジニア・デザイナー領域や事務アシスタントといった専門人材/フリーランスは今後とも高い需要が見込まれる。引き続き発注単価の向上を進めながら発注社数の拡大に注力している」と発信している。

 が未だ(2014年12月上場)無配。23年3月末の利益剰余金は▲4億1800万円。株価も上場時と変わらず。投資対象としては、判断しづらい・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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