人生100年時代、「シニア層」が「やわらかワーカー」になるためには・・・

2021年9月24日 16:16

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イベントの様子。(画像: クラウドワークスの発表資料より)

イベントの様子。(画像: クラウドワークスの発表資料より)[写真拡大]

 人生100年時代、と言われる。高齢者は今後、どんな覚悟で老後に臨んでいけばよいのかが問われている。60歳から65歳への定年延長の動きが、定着する感を見せている。日本の企業の1割程度が「70歳定年制」を導入している(検討している)とするデータもある。

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 だが制度変更だけで、「少子化時代⇔高齢者労働力の確保」が容易に実現するとは思えない。9月9日クラウドワークス(国内最大級のクラウドソーシング企業。ネット上で人材マッチングを展開。東証)とシニアジョブ(高齢者層の就職・転職を仲介する企業)の共同開催で、ズームミーティングが行われた。『アフターコロナ、シニアの働き方予測~“やわらかいシニアワーカー”の台頭~』と題する主題に興味を覚え、参加した。

 前者からはIT関連分野を担当する執行役員:中山恵太氏が、後者からは創業者社長の中島康恵氏が登壇した。双方が斯界のプロだけに興味深く聞いた。共にそれを「業」する立場であることは割り引いて聞かなくては・・・と思いつつ、興味深く聞いた。司会役を挟んだ2人の遣り取り、私の様な外部組の質問を含め1時間余の時間が割かれたが要点を記しておく。

★2017年の「人生100年時代構想会議」の提言を契機に、働き方改革が進行。コロナウイルス禍が、進捗を強力に後押しした。「シニアもPCやスマホを活用できる状況にある。再就職・転職先をWebで探すことが既に容易」(中島氏)。

★「担当するIT関連企業でもシニア雇用へのバイアス(懸念・偏見等)が強かった。それが明らかな変化を見せる契機となったのはコロナウイルス禍。ジョブ(仕事)・スキル重視、年齢に関係なく『シニアこそ欲しい』という流れが本流になっている。求人数は16年を100とするといまは倍近い」(中山氏)。

 中山氏は「シニア導入に踏み切れるか否かは、トップの能力にかかっている。10年から20年先の労働力を勘案すると、いま着手しないと人材が確保できないと考えられる経営者かどうかで、その企業の先々が決まってくると言って過言ではない。それはITに限らず知見・経験が不可欠な介護・看護の世界などでも同様だろう」ともした。

★シニアの働き方も多様になる。「“仕事”ありきで、対応の仕方はリモートワーク(Web会議)がシニアの仕事を誘導しよう。フリーランス(業務委託・契約社員)シニアが増加しよう。年齢から考えると病院に通院しているシニアや、親の介護が必要なケースもある。故郷でリモートワークというスタイルも増えていこう。フレックス制ジョブなども興味深い」(中山氏)。

 中島氏も「企業とのマッチングに際しては、シルバーのシニアの事情をしっかり伝え、例えば勤務日数の調整などでシルバーの体力・気力がパラレルになれるように努めている」とした。

★「契約の仕様によっては年金問題や、確定申告の問題等が発生してくる。当社のグループに社会労務士事務所がある。提携税理士事務所もある。フル活用しシルバーにメリットが生じるように図る」(中島氏)。

★ITエンジニア然り、医療従業者然り。「技術を、経験を活かせるシニアが有利」(中山氏、中島氏)。

 一口で言えばシルバー層は、現役時代に「知見・経験」をしっかり身に着ける働き方をしてきた人が人生100年時代を楽しめるということの様だ。72歳の私には、時既に遅しだろうか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る

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