SpaceX、ISSへの28回目輸送が打ち上げ成功 太陽電池アレイを輸送

2023年6月6日 08:58

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ファルコン9ロケットは、2023年6月5日(現地時間)にフロリダ州のNASA ケネディ宇宙センターから打ち上げられ、国際宇宙ステーションへの28回目の補給サービスミッションが始まる。(c) NASA

ファルコン9ロケットは、2023年6月5日(現地時間)にフロリダ州のNASA ケネディ宇宙センターから打ち上げられ、国際宇宙ステーションへの28回目の補給サービスミッションが始まる。(c) NASA[写真拡大]

  • IROSAが搭載されたISSのイメージ (c) NASA

 NASAは5日(現地時間)、SpaceX社のファルコン9ロケットによる、国際宇宙ステーション(ISS)への第28回商業補給サービスミッションの打上げに成功した。今後数カ月間必要な物資、機器、ハードウェアをISSに補充する。特に注目すべきは、2つのIROSA (国際宇宙ステーションロールアウト太陽電池アレイ) を提供し、ISSのエネルギー生産能力を拡大させることだ。

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 このIROSAは、従来の太陽電池よりも軽量かつコンパクトで、カーペットのように丸めて打上げの際に収納できる。広い太陽光パネルの表面積を確保しながら持ち運びが容易で、しかも用途に応じてパネルの面積を変えられるという優れた特徴を持ち、劇的な宇宙輸送コストダウンを実現している。

 IROSAは、ISSへの搭載が合計6基予定されており、既に昨年末までに4基の搭載が完了していた。そのため今回のミッションにより予定していたすべての太陽電池の搭載が完了することになる。

 IROSA以外の主な輸送品は、「雷雨監視のための装備」「植物の宇宙での持続的栽培実験のための装備」「テロメア技術実験のための装備」などがある。

 雷雨は特に熱帯雨林に多く、地上インフラ未整備地域での観測は困難だ。ISSはより地球に近い軌道を周回するため、雷雨監視には比較的近距離からの観測条件が整えられる。雷雨の大気への影響を詳細に調査するだけでなく、雷雨に伴う重力波の観測も可能だ。

 植物の宇宙での持続的栽培実験のための装備については、宇宙での長期ミッションに必要な食料供給源の確保に寄与する。宇宙で何世代にも渡り植物を持続的に栽培していくための技術の蓄積のため、今回は以前に宇宙で生産され、地球に戻された種子を使用して第2世代の植物を作成する予定だ。

 テロメアは、人間の染色体末端にある構造で、染色体を保護する。加齢や磨耗で短くなるが、宇宙では伸びることが判明している。テロメア伸長のメカニズム解明は、人類の将来に大いなる利益をもたらすだろう。

 他にも、氷の融解、太陽嵐、姿勢回復の実験装備や宇宙天気を詳細に観測するための装備が今回のミッションに含まれ、今後も多くの基礎実験がISSで予定されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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