ポリフェノールに心房細動を予防する効果 イソラムネチンが抑制 産総研

2022年12月24日 09:20

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イソラムネチンが心房細動発症を予防するプロセス(産業技術総合研究所の報道発表資料より)

イソラムネチンが心房細動発症を予防するプロセス(産業技術総合研究所の報道発表資料より)[写真拡大]

 産業技術総合研究所は22日、タマネギなどに含まれるポリフェノールの1種であるイソラムネチンに、不整脈の1種である心房細動を予防する効果があることを確認したと発表した。心房細動は、心筋梗塞や脳梗塞などの主要な原因の1つであり、高齢化が進む我が国において、その予防が大きな課題となっている。

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■心房細動とは?

 心房細動は不整脈の1種で、心臓が小刻みに痙攣する病気だ。心房が1分間に400回~600回も小刻みに痙攣する。

 そのため心房細動の発作が起こると、心臓から上手く血液を送り出せなくなり、心房内で血液が淀み、血栓ができやすくなる。こうして、心房細動は心筋梗塞や脳梗塞の原因となる。

 心房細動は、加齢によって心臓が電気的、構造的に変性することで発症すると考えられている。そこで高齢化が進む我が国において、心房細動の予防が大きな課題となっている。

 研究グループは今回、タマネギやナッツ類、ワインなどに含まれるポリフェノールの1種であるイソラムネチンに、この心房細動を予防する効果があることを確認した。

■イソラムネチンが心房細動を予防

 研究グループは、マウスを何も投与しない群と、アンギオテンシンIIを与える群、アンギオテンシンIIとイソラムネチンを与える群との3群に分けて一定期間飼育。その後、心房に電極カテーテルを挿入し、電気刺激を与えて心房細動を誘発した。なお、アンギオテンシンIIには、心臓の活動電位異常などの電気的変性、線維化などの構造的変性を促進する働きがある。

 その結果、イソラムネチンには心房細動を予防する効果があることを確認。さらに特殊な顕微鏡や染色法を使い、その予防のメカニズムの解明を進めた。するとイソラムネチンが、アンギオテンシンIIによる心臓の電気的、構造的変性を抑制していることが判明した。

 研究グループでは今後、イソラムネチンによる心房細動の予防効果のより詳しいメカニズムの解明を進めると共に、臨床応用、臨死試験を目指して研究を進めていきたいとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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